若いうちは定期保険、か

「若いうちは掛け金の少なくて済む定期タイプの保険がオススメ」と得意気に話すアリコのテレビCMが最近やたらと気になる。
期間を限定して保障の対象とする定期保険は、一生涯の保障をする終身保険と比べればたしかに「お手軽」かもしれない。
だが、冒頭の「若いうちは定期保険がオススメ」は果たしてその通りだろうか。

通常10年を単位とする定期保険はその満期を迎えると契約の更新が必要となるのだが、その際10年歳を重ねた分保険金の支払いが発生する可能性は高まり、その分保険金もアップする。
たとえばこのアリコの定期医療保険、15000円タイプなら、34歳の男性で保険料は月額3,409円。
同社の終身医療保険の6,330円から比べれば確かに安いが、44歳の男性は5,113円、54歳なら8,761円、64歳になると15,708円と、医療保険がいよいよ必要な時には保険金もぐんぐん上がっていくのだ。
さらにこの試算は70歳までであり、さらに「既往症・ご職業・その他によっては、ご契約を制限させていただくことがあります。なお、入院中の方はいかなる場合もお引き受けできません。 」なんて記載まである。
ソコまで考えて、「若いうちは定期保険がオススメ」と言っているのだろうか。

もうひとつ気になる保険のCMが「はいれます終身保険」。
コッチは満50歳〜80歳までの方ならはいれる保険というコトで、ご加入時、医師の診査や告知書は不要、ってコトなんだけど、「こういう場合は(保険金を)払わない」という肝心な部分は約款にのみ記載して、インターネットでは公開していない。
そもそも保険には重要な告知義務違反があった場合にも、契約開始から2年を経過すれば保険契約は有効というルールがあるのだから、「告知書は不要、そのかわり2年以内の保険金は支払わない」という約款でも、結果は同じコトだと言えよう。

ともかくこの保険というのは、終身保険のつもりが保険料の大半を定期特約に充当され、ほんのわずかな解約返戻金も保険契約を切り替えられた際に定期保険の前払い分に充てられ、糖尿に高血圧で健康診断に引っかかってから青くなったサラリーマンをカバーするために開発されたものとしか思えないし、そういう対象というのがこれからの団塊世代の定年退職をピークに増えつづけるコトを物語っているとしか思えない。
最近では死後の保障よりも医療保障を重視する風潮にあるが、高額の医療費には個人負担金の上限金額も設定されているワケであるから、全ての入院費を医療保険でカバーする必要もないし、それよりも国民健康保険を滞納する事により、せっかく受けられるハズだった国民皆保険制度を受けられない悲劇のほうをもっと言うべきではないのだろうか。

満20歳で国民年金の手続きを怠ったばかりに加入が遅れ、その間に不慮の事故に遭って障害を負っても「障害者年金」は支給されない。
体に出来たイボともつかないポリープが「腫瘍」と診断されたばっかりに、がん保険はじめ全ての保険に加入できなくなる悲劇、なんてのの方が、よっぽどリアルで背筋の寒くなるハナシだと思うのだが。

保険を廻るマネーゲームで「負け組」にならないように・・・