往々にして

往々にして繁盛店の店長はおおらかで、例えばトイレのみの利用であったり、例えば駐車場の寸借であったりをあまり気にかけない。
お金を払うお客さんの相手に忙しく、そんなコトにいちいち構っていられないというのもあるのだろうが、そういう店は客が客を呼ぶ理屈に嵌まって更に繁盛するから不思議だ。
そういう店長だからそうなるのか、繁盛しているからそういう店長になるのかは、『鶏が先か卵が先か』という議論になりそうだが、繁盛店も売り上げが落ちて来ると、店長が細かいコトに煩くなる傾向にあるコトから、どうやらそれは『繁盛している店』がそうさせるらしい。

昨日一日だけ、吉野家が牛丼を販売した。
『本日限り』『限定』というコトバに弱い群集心理をうまく利用した手法で、都内の繁盛店は徹夜組も出るかなりの盛況だったらしい。

『うまい』『早い』『安い』をキャッチコピーに店舗展開を計ったが、連想されるのはマンガきん肉マンの方で、その実店舗を知ったのはかなり後になる。
ただ利用していた動機は後2つであり、冒頭き掲げているキャッチコピー通りかどうかは多少異論がある。
(『すっきりさわやか』と言われ続けて洗脳された某清涼飲料水と同じ、としておこうか。)

いずれにしても『あの味』を出すには部位別販売をしているアメリカ産牛肉から特定の部位だけを調達しなければならないという理由で、2年半に渡って販売を中止していたワケだから、『あの味より少し濃い』なんてよく分からないコトを言うヒトがテレビに出て来ても、失笑するくらいに留めておく。
月600トンも輸入していた『上得意先』であるから、輸出元との関係もそれなりに『密接』で、禁輸だからとてあっさり『オージー』とは言えない状況なんだろうが、それで売上を3割も落とした経営が株主に評価されるのだろうか。
800億も売っていた企業の『できるコト』としてはお粗末で、顧客軽視だと思う。

全頭検査の有効性を議論する前に、クライアントの要望に柔軟に対応する姿勢というものが、商売人には必要ではないだろうか。
政治的圧力一辺倒のカウボーイたちにも疑問を感じてならない。

東北自動車道・鶴巣PAに出店された時は画期的だと思ったが、平場でかつての繁盛店が『おおらかな店』に戻るコトができるかどうかは、まだまだ先のハナシらしい。