泥酔した運転手と道路上の酔っぱらい

酒気帯び運転で道路上の人をはね、重度の後遺障害を負わせたとして、運転者に3億を超える損害賠償の判決が出た。
「異例の高額」などと言われているが、事故から5年を経て未だ意識が戻らない被害者とその家族を思えばそうは思わない。
ただ、民事訴訟では加害者の過失が大いに問われてこの賠償額となったが、刑事裁判では「深夜に道路上にいた被害者の過失」が問われて、あまり重い刑には問われていない。
そのことが、「警察の捜査怠慢」とか言われて問題視されているが、果たしてそうなのだろうか。

被害者の男性は飲食店の駐車場から出る車を誘導する為道路上に居たらしい。
それが中央線の手前なのか反対車線なのか、それは大きな問題だろうか。
被害者の男性も飲食店で飲酒していた。
つまり少なくとも酒気を帯びて片側1車線の道路の中央付近に夜間居たことになる。
相手が酒気帯び運転でなくても、事故に遭う危険性は当然に予測できたのではないだろうか。
被害者が誘導しようとしていた車の運転手は、果たして酒気を帯びて(以下略

この事故を目撃したのは、被害者が利用した飲食店の方。
事故後加害者が利用した飲食店の方も現場に来て、加害者が飲酒した事実を告げたらしい。

最近一般的に言う「飲酒運転」による事故が取り沙汰され、あたかも「飲酒運転」による死亡事故が急増しているかのような印象だが、実際のトコロは8月末の交通事故統計で昨年同期に比べて飲酒運転による死亡事故が9件(1.9%)増えたことをもって「飲酒運転による死亡事故は増加」したと発表しているらしい。
(参考:池田信夫 blog:飲酒運転事故は増えているのか:http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/3da23ce284d794319c280acbc4ab73c0、荒れているのでトラックバックはしません。コメント欄も含めてお楽しみください。)
このあたりは一昔前の三菱車の炎上事故のように、メーカーを問わず年間1万台以上の車が車両火災を起こしているにもかかわらず、あたかも三菱車のみが連日炎上しているかのような報道と似ていると思う。

たしかに、さっきまでスナックをハシゴして泥酔したドライバーによって被害を被り、時に命まで落としてしまうというのは社会的に許されることではない。
ただ、駐車場を完備した居酒屋が連日繁盛し、「駐車場がある」という理由で選ばれてきた矛盾が社会にはある。
これには「都市部では」とか「郊外では」といったハナシは通用しないだろう。

飲酒運転をしたドライバーに酒を提供した側と、飲酒運転のドライバーに運転させた同乗者への、当然の飲酒運転幇助罪の適用と、その厳罰化。
そういう社会的機運の盛り上がりこそが、一番の抑止力になるのではないだろうか。

それでは飲食店の経営が成り立たない?
送迎も込みのサービス提供が必要な時代なんでしょうね。
今までが、儲けすぎだと思うのです。


酒の日本文化
590円 / 神崎 宣武〔著〕