転機

dubrock2006-12-31


1974年の第一次オイルショック以降、肩上がりで増え続けてきたガソリンの販売量が、先月初めて前年割れしたそうだ。
しかも年間通じての販売量でも、どうやら前年割れが予想されるらしい。
地球温暖化京都議定書だと言っても、なんだかんだで販売量を伸ばしてきたガソリンの失速というのは、道路特定財源が有り余って使用目的の限定を外す議論がされる中、国全体を巻き込むカネの流れ、ひいては政治の流れをも変える転機となるのではないだろうか。

レギュラーガソリンの全国平均販売価格も、先の湾岸危機当時の最高値142円を2円更新し、144円をつけた。
湾岸危機当時の原油価格がバレル当たり35.1ドル、為替レートが128円くらいだから原油価格は1リットル当たり26.7円。
今回は原油価格バレル72.3ドルに為替レート115円だから、原油価格はリットル49.5円となる。
実に原油コストでは20円の開きがあるのに、売価ではたったの2円の高値更新なのだから、企業努力によるコスト改善以前に、国民は「品薄感」を演出されていかにボッタくられていたかが分かろう。
ちなみに、
第一次石油危機当時の原油がリットル20.3円で売価は今の物価換算で248円、第二次石油危機当時66.7円で売価225円。
「効率化による経費節減効果」なんてもので納得できるレベルではない。

そもそもなんでこの21世紀の世の中に、大昔のシェリー樽換算の単位をドル建てで使わなければならないのだろうか。
1バレル168.某リットルで、為替レート1ドルいくら、なんて換算をしなければコストが算定できないというのは、ハナシをうやむやにして中間マージンを誤魔化そうという意識によるもの以外に考えられない。
原油価格については1リットル当たりの価格を円建てで用いる、日本国内ではそういうルールで情報を開示すべきだとこんなトコロで主張してみる。

イラク制圧と同時に高値安定の原油価格を思えば、アメリカのしていることが100%正義というワケではないコトは否応なく思い知らされるワケだし、その中東の油田開発に初期から先行投資し続けた石油メジャーによるオイルマネーが、世界を動かしている現実も垣間見える。
そんなオイルマネーに「No」を突きつけるのは、今の日本に住んでい
ては限りなく不可能に近いが、ハイブリット車に乗り換えてみる、くらいの抵抗ならできるかもしれない。
(水素による燃料電池車が石油メジャーの意向により封印されているというゴルゴ13ネタも、強ちマンガの世界のハナシではないのだから。)

そうだプリウスを買おう!というコトで、日本一儲けている企業が更に儲かる結論に達するのだが、この「ガソリン販売量頭打ち」が転機となって、2007年がまた大きなパラダイム転換の年となることを夢想する。

よいお年を。

石油最後の1バレル
1,900円 / ピーター・ターツァキアン著