器用貧乏 その2 〜難工事〜

このハナシの経緯、器用貧乏その1についてはコチラ

逆ねじタップとりあえずで向かったホームセンターにはボルトの折れたネジを外すツールがあった。
そう思い出した。逆ねじタップ。
ねじを「緩める方向」に回すと刺さっていくように、通常とは逆向きに溝の切られたドリルのようなものだ。
6ミリ径用であれば、2ミリの下穴を開けてからコイツを突っ込み、緩める方向にまわして折れたネジを抜く。
なので2ミリ径のドリルも手に取るが、ドリルを構える隙間などない。
横向きに回転する「エアーラチェット」があれば可能なのだが、これが新品で1万2千円也。
いつかは欲しいスペシャルツールだが、今はそれを買うタイミングでもない。

フレキシブルジョイント安くてコンパクトなハンドドリルでもないかと店内を徘徊していると、電動ドライバー用のフレキシブルジョイントを発見。
これを使えば、あとはエンジンルーム内の補機類を外せば、ドリルの入る隙間くらいは作れるだろう。
ついでに「万が一」の用の瞬間接着剤もゲットし、ホームセンターを後にした。

これでダメなら、車屋に連絡しよう。
そう思っていた。

早速ボンネットを開け、作業を再開する。
まずは作業スペースを確保するため、簡単に外せる補機類を外しておく。
ファンベルト、オルタネータ、ウオッシャータンク、ラジエータリザーバータンクなど。
しかしフレキシブルジョイントを使っても、車体外側からではドリルが入らない。
オイルエレメントを外し、反対の車体内側からチャレンジするが、こちらもエアコンのコンプレッサーが邪魔になる。
エアコンのコンプレッサーはフロンガスの配管が接続されているので、外すと厄介。
なので取り付けネジを緩めるだけで、本体を1センチほどオフセットさせて隙間を作る。

折れてネジ穴に残ったネジそこからフレキシブルジョイントに取り付けたドリルを差し込み、穴あけ開始。
ところがフレキシブルジョイントも曲がりが強すぎるらしく、熱を持ってしまう。
冷ましながら数回に分けてドリルを押し込み、ようやく貫通。
写真は外した「折れたボルト」。
真ん中にドリルで開けた穴があるのが見えるでしょうか。

今度はスペースの都合から反対側に回り、車両外側から「逆ねじタップ」を差し込む。
これも専用工具がうまく入らず、プライヤーで強くつまんで回すという涙ぐましい作業だ。
最後は刺さったタップを指で掴み、手先の感覚だけでそっとボルトを回す。
この「折れたボルト」がネジ穴から取り出された瞬間は、もう小躍りしたくなるほどの喜びに包まれました。
ボルトさえ抜けてしまえばこっちのもの。
今回作業した場所外した補機類を組み付け、ファンベルトテンショナーを取り付け、作業は完了です。(赤い丸の部分のネジが今回の作業個所。ここまで所要時間3時間!)

我ながら惚れ惚れする仕事だなあと自画自賛しながら、ふと思ったことがある。
ファンベルトテンショナーは、本来の使い方でもかなりの力が加わる所。
ならばその部分を取り付けるネジが、「経年変化による金属疲労で破断」というのはありえないだろう。
とするとあの破断は、間違いなく前回取り付け時の「締め過ぎ」によって、破断とまではいかないまでもそれなりのダメージを受けたもの。
でなければ、折れるまい。

と、いう訳で、煩わしい思いをすることなく自己解決した喜びをかみしめながら、疲れからくる腰の痛みをこらえつつこれを書いている次第なのです。
これはやはり、車屋さんにクレームとして持ち込むべきだったか。
ブログのネタとなったから、それはそれでいいか。
そう思うことにしようと心に決めた1日なのでした。