器用貧乏

何でも自分で。Do it yourself.
自分が手を加えたものには自然と愛着が湧くし、他人様に払う手間賃の節約にもなる。
難しい仕事を成し遂げた時には、えもいわれぬ達成感を味わうこともできる。
そしてそれは、時に「カッコイイ」と言われたりもする。
ただ、損なことでもある。

愛車のファンベルトが、エンジン始動時に短くキュっと鳴った。
先日交換したファンベルトに当たりが出て、微調整(増し締め)が必要なのだろうと思った。
早速ボンネットを開けてファンベルトのテンショナーを緩めると、それは力なくポロリと落ちた。
緩めただけで脱落するような構造ではないので、テンショナーの付け根を確認すると、テンショナーを固定するネジが脱落していた。
昨日、高速道路を走行中に、車体下に何か衝撃を感じたことを思い出した。
その時は石ころか何かを跳ねたんだろうと思っていたが、あれは脱落したネジが路面に跳ね返って当たった音だったのだ。

落としてしまったのでは仕方ない。
早速、恐らくコレと思われる6ミリ径のネジを出してきて取り付けを試みるが、これが
どうもうまくいかない。
径が違うのかと8ミリ径のネジでも試みるが、今度はテンショナーの穴すら通過しない。
テンショナーの構造から固定用のネジ径は間違いなく6ミリ。
なのに6ミリ径のネジは入らない。
不思議に思って死角になっている取り付け部を携帯電話のカメラで除きこむと、そこには頭の折れたボルトのネジ部が残っていた。
つまりネジは緩んだのではなく、折れて脱落していたのだ。
この、頭の六角部分の折れたボルトの取り出しは難しい。
作業部分が死角になった、狭いエンジンルームなら尚更だ。

作業を中断して作戦を練る。
このネジは、ウオーターポンプをサンドイッチにエンジンブロックに固定されている。
昨年暮れタイミングベルトを交換してもらった際に、ついでに交換してもらったのがウオーターポンプ。
外観からも真新しいウオーターポンプは見えている。
つまりこのボルトは、この作業の時に間違いなく外している。
「作業をした修理工場に、クレームを出せばいい」と嫁は言う。
もちろん、普通に考えればそれが一般的だし、そもそ
も自分でどうもこうも出来ないのであれば修理工場に頼まなければならず、ならば前回依頼したところに(それがクレームとして処理されようとされまいと)依頼するのが普通だ。

ところが「果たして車屋は、このボルト破損をクレーム扱いとするのだろうか」という部分について考えている自分がいる。
クレームつけられてなんぼの自動車業界。
それも作業から3ヶ月が経過しての不具合発生。
テンショナー固定ボルトの、経年変化による金属疲労は考えられないだろうか。
たしかあの車屋は、提携先の修理工場に下請けに出していたハズ。
クレームで押したとして、どちらがカブるかについて2者がモメるのではないだろうか。
車屋が納得しても、後から下請けの修理工が異議を唱えたならメンドクサイ。
そもそも、その症状を説明するのも面倒くさければ、車を入庫させ代車を借り、また代車を返しに行って車を引き取るのも面倒くさい。
さらにクレームとして扱われず、ムッとするくらいの整備料を請求されたら・・・。
考えただけでも鬱になってくるので、とりあえずホームセンターに行ってみた。


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