盛夏

8月は一年で一番ガソリンの消費量が増える月。
ただでさえエアコンで燃費が悪化する上に、お盆休みを利用しての行楽や帰省で、個人消費が伸びるからとされている。
何故「お盆」なのかと言えば、正月は雪の影響を嫌って、自家用車よりむしろ電車での移動が主流になるからだろう。

ともかく、一年で一番売れる時期に向けて、いつもこの時期にはガソリンの値上げが話題になる。
毎年、だ。
毎年のことだから少しは学んでもいいものだが、また今年も「ガソリン値上げが家計を直撃」なんてニュースがテレビを賑わせている。

お決まりの「原油高騰」と「為替円安」によって、元売8月仕切価格「大幅値上げ」と報じられているが、ここ最近だけの値上げだけを積み上げても、170円くらいになっていなければならないガソリン末端販売価格は相変わらず130円そこそこ。
それというのも月開け早々の値上げで販売量を落とした業者が、我慢出来ずに月中で値下げをしているからなのだが、7月のように終盤で急速な円高があった場合、従前のルールでは「9月値下げ」を発表しなければならないトコロ、「価格未転嫁分」と称して値上げをアナウンスしているのだから、果たして販売業者が新聞通りに仕切りを上げられているかは甚だ疑問である。
(意味分かる?w)

だいたい「民族系」と呼ばれる石油元売は、自らの決算状況を見ながら、また該当月の販売量を見ながら大手ディーラーとの価格を決めるのが通常であり、大手ディーラーには「(採算はともかく)とりあえず前年並みには売っとけ」という空気が未だにある。
最近、元売と資本関係に無い独立系のディーラーから、資本子会社との仕切格差が合理性を逸脱しているとのクレームが付き、調査がされるとの報道があったが、独立系であろうなかろうとそれなりの販売量を出している、また出し続けているディーラーにはそれなりの価格対応が存在している。
つまり相手にされないのは自身、また自身の属するディーラーの販売量が先細りしていて、かつ高コスト体質にあるからなのだが、調査するお役人は分かっているのだろうか。
ついでに言えば連結決算となる販売子会社は、見掛け上仕切価格はあるが、出向社長の評価以外にほとんど意味を持たないのだから、ここの販売価格が損益分岐点を下回り「不当廉売している」と騒いだトコロで、あまり意味を持たない。

とにかく、特石法廃止直後6万店と過剰にあったガソリンスタンドは適正とされる4万店まで減少し、それでも元売子会社のセルフ店は出店を続け、既存店はさらに減少の一途を辿ることになる。
これから肝心の「元売の淘汰・再編」が進まなければ、この見せ掛けだけの値上げアナウンスと、月中の根拠のない値下げは繰り返されるワケだが、「上がった上がった」とばかり騒がずに、地味に行われる値下げを逐一チェックしていれば、ガソリンの買い時など株より簡単だと思うのだが、どうだろうか。