はたして、そうかな?

平均年収が300万円と、他の業種と比べても群を抜いて低所得のタクシー運転手が、コイズミ改革の弱者切り捨てを訴えている。

はたして、そうだろうか。

コイズミ改革の規制緩和路線により、タクシー台数の都市ごとの総量規制は撤廃された。
これにより大都市のタクシー事業に参入する業者は新規、既存大手の他都市からの進出を問わず増え続け、東京と言えども駅で客待ちをするタクシーの列は珍しくない。
そしてそれは、地方都市に向かうほど顕著になっている。
ガソリンなど燃料の価格高騰を理由に地方都市から順次認められたタクシー初乗り運賃の値上げではあるが、東京についてはタクシー会社の労働分配率などが指摘されて保留となっている。
一説では参院選後に値上げの方向で動いていたと言われるが、自民党がココまで議席数を減らしてしまっては、果たして実行されるかどうかは非常に不透明だ。
ただ初乗り運賃の値上げは一基10万近くするタクシーメーターの交換を意味し、巨大な利権がからむ。
「(約束通り)やってもらわなければ困る」
というのがメーカーの本音ではないだろうか。

絶対的な利用客の少ない地方都市が、大都市に比べて3割ほど初乗り料金が高くても、さして不思議はない。
これは、「地方切り捨て」だろうか。
やみくもに台数を増やしすぎたタクシー会社こそ淘汰されるべきで、乗務員の賃金体系含め働く側だけが痛みを負担するのはおかしい、と騒がれているが、6割から6割5分ほどの歩合は全国ドコへ行ってもさして変わりはない。
むかし歩合制を排除して固定給を支給する試みをしたタクシー会社があったが、その試みは早々に頓挫した。
固定給では誰も真面目に仕事をしないのだ。

東京中心部について言えば、1回の乗務で8万円近く売り上げる乗務員も珍しくない。
65%バックで本人の取り分が5万円。
月に10回も乗務すれば、ソコソコの支給額となる。
それは東京でのハナシだろう?
もちろん地方都市に行けば行くほど難しくはなるのだろうが、客待ちのタクシーの列に自らも車を並べているだけで、人より多くの売上を挙げようと思うほうが「甘い」とは言えないだろうか。
タクシーの基本は「流し」だ。
空車マークで繁華街を流してこそ、客も拾えようというもの。
駅などで「付け待ち」に慣れてしまって流すことを忘れたドライバーに、水揚げの少なさをグチる資格はない。
売上の基本は料金が割増になる午後10時以降。
この時間に付け待ちの列でスポーツ新聞を広げていては、売上など上がらなくて当たり前だ。

そんな東京圏でタクシー運転手の低所得を訴える声がテレビに取り上げられているが、タクシー会社は台数を増やし続けなければ翌年の増車枠がなくなってしまう。
荷物のない運送会社はドライバーに2種免許を取らせて、続々タクシー業界に参入している。
保有しているタクシーのうちある一定台数については、認可の都合上、平日日中に運行させなければならない。
しかし稼げる夜間に比べて、割増もなく短距離の客の多い平日日中はドライバーには敬遠されがちだ。
それで、年金受給者を固定給で雇って、平日の日中のみ運行させているタクシー会社も少なくない。
GPSで監視されているのでサボることも出来ないが、固定給だからもちろんガツガツと仕事はしない。
年金受給額に影響するので、月10万以上は稼がない。
そんなドライバーが、業界の平均年収を押し下げているとは言えないだろうか。

安倍は悪くない。
コイズミのバカの後釜で尻拭いをさせられているだけで、それもこれも「改革」なんて言って地方を切り捨て弱者を切り捨てたコイズミのバカが悪いんだ。
そういう意見を選挙後耳にするようになったが、破綻寸前の財政赤字を招くことになった原因は、実態のない日本全体の経済的発展そのものではないだろうか。
人間の住んでいない地方で、大都市並みに土建屋の社長が羽振りが良かったのは、公共工事の他財政投融資などあらゆる手段を使って、地方にカネをバラまいた結果の産物。
いまそれが本来の需要並みになってきているだけで、切り捨てなければ日本財政が本当に破綻してしまう。
その考えに賛同してのコイズミ人気だったと思うのだが、どうだろうか。

安倍の不人気は、自らが招いたというハナシ。
既得権だけで国会議員をやっている戦犯の孫の言う、「美しい国」に国民はNOだという、ただそれだけのハナシだと思うのだが。