給油活動は継続するべきか

dubrock2007-11-14


1日に失効したテロ特措法に変わる「新」テロ特措法案の、民主党過半数を占める参議院での扱いが注目されている。
9・11以降「テロに対抗することこそ国際正義」という刷り込みが浸透して、被害者であるアメリカをリーダーにした一連の軍事活動は、国連でも追認されるまでになった。
国連は各国のエゴを擦り合わせて最大公約数を模索する場であって、シロクロを付ける場ではない。
だから日本の給油活動を評価する決議文の採択にしたって、「一国の内政の為に国連決議をするべきでない」とするロシアの採択棄権は、ある意味スジが通っていると思う。
この決議はロシアの国益にとって「プラス」となるコトなどあまりないだろうから。

先の大戦で敗戦国となった三国のうちの一つである日本は、国連の活動のメインである安全保障理事会において、「常任」のイスさえ未だに与えられていない。
60年掛けてコトあるごとにカネをバラ撒き続けて来ても、信用はされていないというコトだ。
とはいえ、会議では3S(スマイル・サイレント・スリープ)と評される日本人のコト。
たとえ常任理事国として迎えられたトコロで、国益の誘導にイニシアチブを発揮するコトもなく、多数決の多数派に賛同しているに違いないが。
このへん、かの北の将軍様の方が、よっぽど交渉力には長けていると思う。

自己主張をしての国益誘導が不得手であるならば、交渉力が強くて面倒見の良い「世話役」に迎合するより他はない。
たとえその世話役が暴力的な手段に頼るコトも厭わないヤクザ者だったとしても、どん底の状態から何かと目を掛けてくれて、今なお何かあった場合のケツ持ちを引き受けてくれるとあれば尚更だ。

日本の戦後というものは、そんなアメリカに統治されて本当にラッキーだったと思う。
これが一つ間違って社会主義共和国連邦の一因であったなら、今頃トラバントが街を行き交い、核開発の放棄を条件に援助をたかる国となっていたに違いないのだから。

ただその選択が、今まさに岐路に来ていると思われる。
アラブによる中東支配とパワーバランスを崩すべく作られたイスラエルと、その後の紛争は、地面を掘れば出てくるオイルマネーを兵器に費やさせ、繰り返し行われた戦闘はついにアメリカの一国支配となった。
その魂胆がミエミエで国際世論を敵に回しそうな局面もあったが、アメリカ経済の象徴への攻撃が全世界に中継されるコトで、「錦の御旗」を掲げられたのだ。

そして、彼らに中東を支配させた結果が1バーレル100ドルという法外なエネルギー。
現政権がテキサスの油田を資金源にしているのだから、当然と言えば当然の成り行きだ。
自国の若者を犠牲にしてでも欲しかった国益の正体がコレなのだから。

そして今、そんな一樽100ドルで買った貴重な資源を、アメリカの軍艦に無償でデリバリーしなければならない現実。
確かに活動エリアは日本のライフラインであり、このエリアの安全なくしてエネルギーの安定確保は難しい。
ならば、自国の船くらい自分で警護してもいいのではないだろうか。
だいたい、作戦活動するから燃料よこせって、そんなムシの良い軍事活動があるだろうか。
戦とは戦国の昔から手弁当ですると決まっている。

首相の訪米を目前に控え、何とか手土産を作りたい自民党
外務省だって何らかの成果を出したいワケで、何もなくしてただ遊びに来られたのでは、来られた方も迷惑だ。

当然、民主党参院で「法案の決議をしない」がセオリーとなるのだろうが、対案もなしにただ引き伸ばしたのでは、メディアを敵に回す危険性もある。
このへん、「様子を見ながら」の展開になるだろう。

アメリカのサブプライム問題、すなわち土地バブルの崩壊を受け、ドル安だ日経平均暴落だと騒がれている。
日本の株価などゼロ金利と円安で海外資本が流入しただけ。
実質的な回復も成長も何も無かったワケだから、それが本来の価格になったトコロで驚くコトでも、悲観的になる必要もない。

急激な株価下落で銀行が一斉に赤字に転落し、またぞや公的資金注入か、なんて時に、一樽100ドルのエネルギー。
それでも、アメリカの後ろに付くべきなのか。
『自国の利益』という部分に着目して、今一度しっかり考える必要があると思う。
国際社会とは日本のように治安と秩序が保たれたものではなく、占拠、略奪、喧嘩、何でもアリの無政府状態で、互いに自らの利益を追求する鉄火場なのだから。