ガノタ

dubrock2008-02-06


ヒゲが濃い。
それも伸ばせばカッコいい部類に入るような生え方はしていない。
アゴひげ」というよりはむしろ「のどヒゲ」。
下手すると下ろしたてのタートルがボロボロに毛羽立ってしまうくらいだから、注意が必要だ。
なので髭剃りは「カミソリで」と決めている。
最近は電気カミソリもかなりの高性能で、ドコでも剃れてわざわざシェービングクリームを付ける必要もなく非常に合理的ではあるのだが、「飛び散ったヒゲはどうすんだ」とか「なんかヒリヒリする」とか気になってしまって、日常で使うコトはない。
電気カミソリのあとにアフターシェービングローション、ではそもそもの電気カミソリの意味がないと思うのだが。

カミソリの世界も日進月歩であって、「二枚刃」だけで売れた時代はもう昔のこと、「二枚刃にスムーサー付き」、「三枚刃」、「三枚刃安全ガード付き」など登場して、今は「四枚刃」が主流になっている。
刃数増やしてるだけぢゃん
と言われてしまいそうだが、ところがどっこい「三枚刃」を初めて試した時の感動というのは、今でも忘れられないくらいに鮮明に覚えている。
下ろしたてのカミソリというのは当然刃先が鋭利になっていて、二枚刃の頃は不用意に押し当てると間違いなく「カミソリ負け」を起こした。
それが刃を3枚にすることで、それまで100の力を50ずつ受け止めていたものが、理論上1枚あたり33ずつに軽減される。
なんと34%も軽減されてしまうのだ。
その感触は一言で言うなら「マイルド」。
それでいてキッチリ剃れてしまうのだから、これまでのカミソリ負けは何だったんだ、と問いたくなる。
それくらいの感動だった。

ちなみにむかしは、床屋でヒゲを剃ってもらうのが目的の半分くらいを占めていた。
少々センスがオヤジくさくても、パーマ屋で髭剃りなしでは意味がない。
それくらいに、「プロの髭剃り」というものが魅力的であった。
裏を返せば、「自分でする髭剃りは痛くて、それでいて剃れてない」、ソレが当たり前の時代だったのである。
ところが最近は、床屋の髭剃りに満足できないコトの方が多い。
剃りが浅い。
剃れてない。
それでいて、カミソリ負けを誤魔化す為にメンタムなど塗られてしまう。
そんな仕事しかできない床屋が多くなったように思われるのである。
それというのもおそらくは、カミソリの進歩によって「自分でする髭剃り」のレベルが上がってしまい、「床屋の髭剃りに満足できなくなった」、つまりはそういうコトなのかも知れないのだ。

あっと話題は業界のビック3、シック・ジレット貝印のそれぞれフラッグシップモデル、ホルダーに替刃が1、2枚付いて1000円、替刃は10枚で1500円、くらいの価格帯の商品のハナシだ。
世間では使い捨てにしているヒトもいるのかも知れないが、このクラスになると頻度にもよるが1ヶ月、まで行かなくてもまあ半月くらいは使えるものだと思っている。
使っているうちに切れ味が落ちてきて、むかしヒゲがそれほど濃くなかった頃は「刃の両端が微妙に錆びてきたら交換」だったのだが、最近では「刃先に刃こぼれが目立つようになったら交換」としている。
(コレが刃こぼれするのだから、そりゃタートルも毛羽立つワケだ。)

世間には「5枚で100円」という商品も存在して、「ホルダーに替刃が1、2枚付いて1000円」というのはかなりの贅沢品のように思われるが、正直言ってこのクラスでは髭剃りが完了する前に刃こぼれしてしまって、「使い捨て」以前の問題になってしまう。
旅先などでサービスで提供されるのが大抵この部類だが、まあ「無いよりはマシ」というか、首周りに大量の剃り残しを発生させて、訪問先で恥ずかしい思いをした記憶が蘇ってくる。
(とは言っても実家でオヤジが永年愛用しているのがコレなので、あんまりボロクソ言えない立場ではあるのだが、これは「カーチャン任せ」で自分で買いに行かないのが悪いだろう。)

さらにはソレの上級モデルとして、「3本で200円」くらいの「首振り2枚刃」というのも存在する。
コレだと、まあ1回は剃れる。
最後のほうは無理矢理だけど、それでも剃れないコトはない。
というのもコストの上昇分は「首振り機構」の方に充てられていると思われ、それはそれで必要な機能だし悪いコトではないのだが、肝心の「カミソリ」の部分が「5枚100円」と大差ないように思われるからだ。
こんな、首まで振る立派なものを「使い捨て」とは些か気が引ける。
なので、自分なりにコストと仕上がりを検証した結果得られた答えが「フラッグシップ」なのだが、買っている本人も正直「高い」と思う。
ホルダーに替刃10枚つけて、カミソリごときに3000円て、しかも別売りでニベアのシェービングクリームて、どんだけ贅沢やねん。
それは買う度に思うコトなのである。

なら、とりあえずホルダーだけ買えばいいぢゃん、なのだが、前述の通りこの世界は日進月歩であって、替刃を買いに言ったら新商品に切り替わってて、古いホルダーに新しい替刃が使えるのか定かでない、という地獄の自由選択に直面する。
過去にこれで、「結局新しいホルダーを買いに行く」という失態を演じたコト1回。
それから、「シック」と「ジレット」を間違えて買ったコト1回。
その度に、ホルダーへの装着部分については業界で統一するべきだろうと言いたくなったものだが、業界はおろか同一メーカー内でさえ、「新商品には使えません」が現状である。
替刃10枚を消化する頃には、たしかにホルダーも結構バッチくなっているのだが、それでも「自分の判断でホルダーを新調する」のと「問答無用で買わされる」のでは意味合いが違う。
この辺、もし万が一業界関係者の方がコレを読んだら、時節柄是非ともご検討頂きたいものだと思う。
(ホルダーが売れなくなるのは分かるけどさw)

そんなワケで、「今日こそは髭剃りを新調するぞ」と意気込んで、売り場に出掛けたワケであるが・・・

もともとは「ジレット派」だったのだが、三枚刃を初めて試したのが貝印で、以来「カミソリは貝印」と決めている。
「シック」も試供品を頂いて使ったコトはあるが、「下ろしたての剃り味」に不満で却下となった。
下ろしたての剃り味で貝印に勝るカミソリは、無いのではないだろうか。
(って言った時のこの感覚は、「トヨタ、日産よりホンダが一番」の感覚に似ている。つまりは「市場では少数派」というコトなのかもしれない。)
そんな貝印の、最新の4枚刃ホルダーが、替刃3コもついて税込み980円。
ならばノータイムで「買い」でしょう、なんだけど、気になるのはそのパッケージに書かれた「KAI-PRESENTS GUNDAM PROJECT?・貝印オリジナルフィギュア付きミニホルダースタンドキャンペーン」の文字。

いや、ガンダム嫌いじゃないし、シャアザクもカッコいいけど・・・

案の定、買い物カゴに入れられたオレの「KAI・K−4TETRA」は嫁に見つかり、なんかいかにもガンダムのフィギュア目当てで選んだかの様な冷ややかな視線が。

「いや、カミソリは『貝印』って決めてて、たまたまこういうキャンペーンが・・・」

言い訳している自分がなんとも情けない。
それでも、ついに4枚刃になったカミソリは驚くほどに吸い付き、切れ味最高、それでいてカミソリ負けなし。
あれだけ憂鬱だった髭剃りが楽しみになってしまうくらいの使い心地なのだ。

そんなワケで、「プロ以上の仕上がり」のアゴを撫でながら、しっかり「貝印オリジナル“シャア専用”グルーミングキット(Char Aznable Ver.)プレゼント」にも応募したのであるが、コレの応募の時にも軽いアンケートがあって、

Q9.今後も貝印ガンダムキャンペーンの実施をご希望されますか?
はい・いいえ
なんて設問があったりする。

最近「ガンダム」の企画は随所で見掛ける。
我々「団塊ジュニア」世代ももう30半ば、そろそろ社内でも「中堅所」となってきて、発案する企画が採用されたりもするだろう。
そんな我々世代が「やりたかったコト」がすなわち「自社製品とガンダムとのコラボキャンペーン」なのかも知れないが、いい30男が「ガンダムだから買う」というワケではない。
ソコんトコを勘違いしてるんじゃないか、貝印さん大丈夫かと心配になってしまう「Q9」。
これかも貝印さんには、「良いカミソリ作り」を探求し続けて頂きたいと、切に思う次第なのである。

ちなみに、「ガンダムオタク」⇒「ガンオタ」⇒「ganota」⇒「ガノタ」となるらしい。
断っておくが、ワタシは「ガノタ」ではない。
念のため。