永田町

長い階段
ここへ来る度に思うコトがある。
なぜ永田町界隈の地下鉄は、こんなにも深いんだろうか、と。
地下鉄の長い連絡通路は、一駅ぐらいなら「(地下鉄に乗らずに)歩いても同じじゃね?」と思うコトもしばしばなのだが、加えてこの高低差。
時にエスカレーターもなく、30男が「階段をてくてく」という状況が続くと、この無駄な上り下りに浪費されるエネルギーを考えずにはいられないのだ。

このメタボリックが!少しは運動しろ!

という罵声が聞こえて来そうだが、考えているのは一個人がこの昇降で消費する運動エネルギー、なんてミクロのコトではない。
日々何千、何万というヒトが、この高低差を昇降している。
地上には、国の中枢を司る主要機関が立ち並ぶ。
その主要機関で、まさに国の中枢を司っている当の本人は、朝から「黒塗り」で送迎付きだから実感が湧かないかもしれないが、それを取り巻く周囲というのは、間違いなくこの高低差を日に何度となく昇降しているのだ。

首都高が走り、地下鉄が何本も交差し、皇居には「お堀」まである。
必然的に、「深くならざるを得ない」というのも分からないではないのだが、それにしたって深すぎる。

あれは「核シェルター」になっていて、有事の際にはこのことを知る「ごく限られた人間」が逃げ込むようになっているのだ。
という都市伝説が、強ち「ウソっぱち」とも言えないくらいの深さなのだ。

「中心が深い構造」を夢想していて、ふと思ったコトがある。
コレが東京全体が水没するくらいの「水害」だったらどうだろうか。
もともと地球温暖化も、それに伴う海面の上昇も言われなかった頃の構造物。
「核シェルター」という構想が当時あったとしても、まさか「水没」は考えていまい。
水は、高いトコロから低いトコロへと流れる。
この場合、地下鉄全体が巨大な「遊水地」となりはしないだろうか。

それでも、皇居国会は安泰?
たしかにそれはそうなんだろうけど。

ただ深く掘ればいいってもんじゃないと感じた、「永田町」だった。