節のもの

ある農園さんについて何かテキストを書かなければならない状況にあったのだが、そのキャッチコピーがさっぱり浮かばずに悩んでいた。

小包

そんなある日実家から届いた救援物資の中には、そらまめ、いんげんまめ、スナックえんどうなどがたくさん詰められていた。
むかしはこのテの「豆類」を寄越されても、全然嬉しく思わなかった。
「どうせ送るなら、マメはいいから肉とかにしてくれよ」
それが、正直な感想だった。
ところが今回はどうだろう。
夕餉を待たずに自分で茹でてしまいそうな勢いである。

アレ?オレって、そんなに「いんげんまめ」好きだったっけか?
ふとそんなコトを考えていた。

実家のある「南房総」は、東京近郊にある温暖な気候の観光地。
なんだけど、実際のトコロは農業と漁業が主体の地域である。
「米」も主要作物として作ってはいるのだけれど、気候、土壌とのマッチングなどを考えると、正直米なら東北に軍配が上がると思う。
それよりも、肥沃でどちらかと言えば粘土質の「関東ローム層」にマッチングする作物は、「豆類」なのではないだろうか。
ま、千葉といったら「落花生」。
「南京豆」、「ピーナッツ」、呼び方は様々だが、ともかくコイツが筆頭に挙げられるのではないだろうか。
たしかに、「ピーナッツ」の専門店も何軒かあり、「ピーナツ屋の息子」も同級生に居たけれど、あれは県北での生産が主体。
県南部、南房総で作られているものと言えば、むしろ「そらまめ」「いんげんまめ」の方が多いのではないだろうか。

いんげんまめ

このテのおかずは実家に居た頃は「食卓に並ぶのが当たり前」であって、それらを意識して食したことも無かったし、いつが「旬」なのか考えたコトも無かった。
しかし実家を離れて生活していると、不意に食いたくなるものである。

食いたい時に、売っていない。

最近では主要な野菜類については年中通して店頭に並ぶので、その「時期」について意識することも少なくなったが、こういうものは「旬」のものを頂かないと、その本来の「美味しさ」を味わえないものである。
こういうのを宮城あたりでは、

せつのもん(節の物)
と言うらしい。

地元千葉名産でありながら、これまで全然意識していなかった「豆類」について、こんなコトを考えていたのには、あるきっかけがある。
それが、先日嫁さんの実家(宮城県)を訪れた時に、嫁さんのお母さん(お義母さん)から言われた、

「また今年もまた、千葉の『そらまめ』食いてぇなぁ。」
という一言なのである。
そんな容易いコト、と探し求めてみれば、意外にスーパーには並んでいないものである。
時期が早い。
それもあるだろうが、そもそもワタシにとって「そらまめ」とは「近所から回ってくる(頂く)もの」であって、「1箱2000円」も大枚叩いて買い求める類いのものでは決してない。

果たして、「そらまめ」が出回るのはいつ頃だったろうか。
そんなコトを考えていた矢先に届いたのが、前述の「実家からの救援物資」であり、クライアントからの「『そらまめ』でスープ作りました」というメールだった。
つまり、ついに「そらまめ」の時期が来たのである。

そんなワケで、本来は嫁さんの実家に転送すべき「そらまめ」は、

そらまめ

早速茹でて、食っちまった。
(お義母さんスイマセン・・・f^^)

ちなみに冒頭の「農園」とは、
【安西農園】とうもろこし・野菜産地直送販売!
http://osa-web.com/anzainouen/
のコト。
農作物の写真がキレイなサイトなので、是非一度ご覧頂きたい。