金魚すくいの金魚が翌朝死ぬ理由

dubrock2008-05-21


先日のピラニア(らしきもの?)の水槽を眺めていて考えた。
中ではピラニア(らしきもの。UFOキャッチャーに出回っているのは、「ピラニア・ナッテリー」という種類らしい。)が、気持ちよさそうに泳いでいる。
食欲も旺盛だ。

水槽はGEXの「金魚のお部屋S」というものなので、その筋の水槽からすればオモチャみたいな小型のものではあるが、世間一般に出回っている「金魚鉢」から比べれば、格段にデカい容量を持っている。
UFOキャッチャーで偶然ゲットした今回のピラニア騒動によって、今まで全く関わりのなかった「熱帯魚」に関するホームページをいくつか閲覧した。
その結論からすれば、「金魚鉢」というのは世間的な認知の上ではポピュラーではあるが、中でサカナを飼育するには「上級者向き」であるというコトが分かった。
理由としては、

水の容量が少ないので、水質管理が難しい
に尽きるようだ。

まず水中の酸素濃度、二酸化炭素濃度を適正に保つ為に、「エアレーション」と呼ばれる「ブクブク」は必須。
(しかも24時間稼動が推奨環境)
それに、水槽には「立ち上げ」と呼ばれる「サカナを飼育できる環境(水)をつくる」という工程が前提になっているので、もうこの時点で、「金魚すくいでゲットした金魚をとりあえずバケツに入れておく」が「アウト」だというコトは、分かって頂けるのではないだろうか。

一般家庭に「エアーポンプ」はまず無い。
金魚すくいで金魚をゲットして、金魚鉢を買いに行ったとしても、シロウトが「エアーポンプ」までは買わないだろう。
実際ワタシも、「梅酒を漬ける小瓶」は買いに行ったけれど、一緒に買ったのは「プラスチックの水草」と「敷石(ゼオライト)」くらい。
「酸素を発生させるセラミック」みたいなのが一緒に入っていたので、それで大丈夫だと思っていたのである。

しかしおサカナさんは、エラ呼吸によって水中の酸素を取り込んで生きている。
どんなに小さなサカナだったとて、限られたほんの数リットルの「水」で、何週間も生きていられるワケがないのである。

その環境で、ウチのピラニアさんは1週間ほど生き延びた。
これには、

・個体が小さかったこと
・一日一回、水を半分ほど換えていたこと
・使った水は、たまたまあった例の湧き水だったこと
などが理由として考えられるが、何より「もともとピラニアは環境変化への適応能力が高い」というのが、最大の要因であったと思われる。
それにしたって、今思えば体長3センチほどの極端に小さいカラダで、よく頑張ったものだと思う。
(ま、それでも、果たして「ピラニア」かどうかは定かではないのだが・・・)

次に「水槽の立ち上げ」についてであるが、これは水道水のカルキ(塩素分)を抜くというのもさることながら、「好気性のバクテリアを繁殖させる」方にこそ、その目的の主眼が置かれている。
「エアレーション」により充分な酸素が供給された環境下で、好気性のバクテリアを繁殖させることで、サカナが住みやすい環境が作られる。
反対に酸素供給のない環境下では嫌気性のバクテリアが繁殖し、つまり水が腐る
(よどんだ水が腐るのはコレが原因らしい。)

塩素を抜いた水にエアレーションを施し、「パイロットフィッシュ」と呼ばれるいわゆる「安いサカナ」を入れて、好気性のバクテリアの繁殖を促すのである。
その際、水は一時的に白濁する場合もあり、そして落ち着くと透明な「いわゆる水」の状態になるという。
その状態を「立ち上がった」と言い、この「立ち上がった水槽」にお目当てのサカナを入れるのが、「セオリー」のようなのだ。
しかも「いきなりジャボン」はNGで、「水合わせ」なる儀式を経ての投入となる。
(でないと、折角買った高価なおサカナが、無残な姿になることもあるらしい。)

いきなり水道水に漬ければ、そりゃ金魚も死ぬよ」というハナシなのである。

なので、せっかく繁殖させた好気性のバクテリアを温存する為に、

・水替えは最大で半分ずつ
とか、
・「フィルターの交換」と「水替え」は同時にしない
といったルールが出来上がるのである。
もちろん、水替えに水道水を使う場合には「カルキ抜き」(専用の薬剤を使うのが一般的)が大前提。
「キレイな水道水なら大丈夫」では決してないのである。

あと、「金魚鉢」というと

金魚

こういう光景をイメージするヒトが多いと思うが、前述の「GEX」のホームページによれば、「約4〜12リットルの小型の水槽で、5cmまでの小型魚なら2〜3匹、8cmまでの中型魚で1〜2匹」というのが基準になっている。
つまりこのイラストの環境というのは、当の金魚にとってはチト狭いのである。
(まあ、あくまで「イラスト」なので、デザイン的なバランスが最優先なのだろうが、世間のヒトが思っている「サカナを飼える環境」って、得てしてこんなカンジなのではないだろうか。)

ちなみにこの狭い環境に「エアレーション」と「水のろ過」(特に金魚は「大量のフン」をする)を施すには、機材の大部分に手を加えて自作する必要があり、それでも、あの特殊な形状により「水が澱みやすい」上に、「容量が小さいので水変えによる水質変化が顕著」となる。
そしてさらに「美観」というものまで考慮するとなれば、「金魚鉢は上級者向け」というのも納得されるのではないだろうか。

さらにピラニアさんは「熱帯魚」なので、「水温26±2℃」が推奨環境となる。
これが意外に、計ってみると今時期の水って放っておくと20℃ソコソコしかなく、つまりほぼ通年に渡ってヒーターが必要だったりするのである。
(ヒーターを入れたら活性が上がり、食欲が旺盛になった。)
それに、エアポンプの作動音が気になり(ちなみに水槽設置場所は「リビング」)エアチューブを5m延長して室外に出した。
つまり、1280円の「金魚のお部屋S」で立ち上げたウチの水槽も、なんだかんだで3000円近く掛かっているのである。

ココまでの設備が無ければ、雑魚一匹飼うコトが出来ないとは・・・

さらに「故障に備えヒーターは2系統用意する」とか、「成長に合わせて水槽は60cmサイズが必須」とか、「水質のペーハー(pH)管理が必要」とか、上を見ればキリがない。

そんな、なんとも危うい環境下で、元気にエサを漁るピラニア(かどうかは・・・もういいですか?)君。
ポコポコ出ているエアレーションの泡を眺めていて、こんな水を飲用し、風呂水として全身に浸かっている人間て大丈夫なんだろうかと、真剣に考え込んでしまった。

そんな水、「科学的に影響がないレベル」だとしても、やっぱり気持ちのイイもんではないぞ。