難波のことも夢のまた夢

dubrock2008-06-26


NOVAの元社長、猿橋氏が逮捕された。
容疑は横領。
大阪を一望出来る社長室にはサウナまで完備と、栄華を極めに極めた名物社長も、ついに56歳で臭い飯を食うという結果になった。
あれだけ羽振りの良いコトをしていたにもかかわらず、最後はたった3億の工面にも困っていたのだから、なんとも寂しいものである。

時を同じくして、派遣で一時代を築いた「グッドウィル」の、労働者派遣事業の許可が取り消された。
これによりグッドウィルは廃業、従業員4000人が解雇されるというが、まだこの会社に残っていた人間が4000人も居たとは、そっちの方こそ驚いてしまう。

NOVAは解約時の返金額に関する判決、グッドウィルは「安全協力費」なる不明瞭な徴収金の返還が、破綻の引き金となった。
いずれもこんな大企業が破綻するには、あまりにチンケなハナシなのだが、過度の豊満経営で散財著しく、意外に体力は弱かったというコトだろう。

何らかの制度改革と、それを画策する政治的な力の下で、ある一つのビジネスモデルが考案される。
モデルの考案者たちは六本木あたりで豪遊し、これに迎合するマスコミ関係者により更に脚光を浴びる。
二匹目の泥鰌を狙った後追い組がこれに合流し、「これこそが最新の経営手法」と持て囃されたあたりがピーク。
あとは不法行為の告発や、「被害者」なる存在の登場によりモデルの矛盾が露呈し、政治家が離れた瞬間に規則強化。
表向きの首謀者が逮捕されて幕引という流れは、リクルート事件の昔から何ら変わっては居ない。

変わっては居ないのだが、ライブドア事件あたりからその展開があまりに早まってはいないだろうか。
実体のない虚業で大風呂敷を広げ、新興市場に株式を公開。
「IPO」というだけで株価が吊り上がり、その株価で株式交換により優良企業を買収。
買収により増えた売上をもとに株式分割、株価高騰から株式交換により買収を繰り返すというマネーゲームはあまりに巧妙で、ほんの5年ほどで使い捨てるにはあまりに勿体ない気がするのだ。

それは先払い授業料を食っていたNOVAにしたって、広く浅く徴収したグッドウィルだって、保険金詐欺のコムスンだって、極端なハナシ豆腐建築のヒューザーにしたって、それぞれがそれぞれに巧妙な仕掛けと、時流に乗った時代背景というものを持っている。
持っているのだからこそ、5年とは言わずせめて3代くらいは持つような、そんなシノギをしてはどうかと思うのだ。

赤川次郎の小説のような、「ネタの安売り」感。
たった5年でブタ箱行きでは、せっかくの斬新なモデルが勿体ないではないか。

そんなワケで、逮捕覚悟で乗っかるハナシを模索する日々なのである。
ホントにそんなハナシが来たとして、乗っかる勇気があるだろうか。
それだけが気掛かりである。