話題のホンダ・インサイトに試乗

ホンダ

ホンダのお店にやってきた。

それというのも、コイツ

インサイト

ホンダから発売の「200万円を切るハイブリッド車」、インサイトに試乗するためだ。

エコだなんだと言われても、信号で止まるたびに「手動でアイドリングストップ」はメンドクサイ。
だいいち、ぼんやりしていると発進に手間取り、後続車から怒られてしまう。
それよりなにより、余計なコトをしてバッテリーが上がりやしないか、セルモーターにダメージを与えやしないか、年数の経った車に心配事は尽きないのである。
かといってプリウスって・・・価格設定結構強気なんだよねぇ。
そんな、予告CMでペパーミント・パティが言っていた通り、「こういう価格帯のハイブリッド車」こそ、市場が求めていたものなのである。

新型インサイトに自動車評論家の皆様はともかく、世間一般の「車好き」は興味津々だったようで、「発売直後はお店の駐車場に入りきれないほど」(ディーラーのセールスさん談)の嬉しい悲鳴だったそうだ。
今回は、そんな「猫も杓子も」が一段落した後のウイークデーを狙って、「ゆったり試乗」という算段だ。
この作戦は見事的中し、「冷やかし」も含めた多数を接客してこなれたセールスマンは、気負いも深追いすることもなく「インサイト」のセールスポイントを的確に紹介してくれた。
これが販売の激減から工場の休業にまでいたっている今どきの「レク○ス店」とかだったら、売り上げに餓えてギラギラしたセールスマンが買わずに帰るなんて言える雰囲気にはしてくれないだろう。

思えばオデッセイに始まり、ステップワゴンにライフにフィットとソコソコの間隔でヒットと飛ばしたホンダ。
セールスマンからすれば、この不況の年度末にバックオーダーで納車待ちまで出たインサイトは、「まさに救世主」ではないのだろうか。
ちなみに工場が増産対応してもなお、「今注文して5月前までになんとか納車」というレベルらしい。
(なんて、エコカーの開発で立ち遅れて「虫の息」のニッ○ンのセールスが聞いたらなんて言うだろうか。w)

そんなワケで、早速試乗である。
スタイルはソックリだが、プリウスより一回り小さいボディサイズ。
重量は1100kgに抑えられているらしい。
この「軽量」が、燃費に効くというコトなのだが・・・ホンダのモノコックって7、8万キロで結構「ガタ」来るじゃないですか。
その辺どうなんでしょうねぇ・・・。
耐久性は試乗じゃ分からないですからねぇ。

ちなみに、ハイブリッドの一番の関心事である「電池」については、「15年または23万キロ」を目安に交換とのコト。
気になるお値段は15万円となっている。
このあたり、10万キロを超えると「交換」が囁かれるプリウスの「40万円」より良心的だ。

タクシーとか、よっぽど距離を走る人でない限り考える必要はないでしょう」(またまたセールスさん談)

というのも頷ける。

エンジン

ちなみに、エンジンは1300cc。
これにモーターのアシストが付く。
エンジンの始動などには既存の「水銀鉛バッテリー」が使われ、コチラは3年ぐらいで交換が必要なんだとか。
ただハイブリッドで大きいバッテリーも持ち合わせているからなのか、エンジンルームには34Bという「軽トラック並み」のバッテリーが申し訳程度に置かれていた。

これはトヨタとホンダのハイブリッドに対する根本的な考え方の違いなんだろうが、「電気自動車にガソリンエンジンでアシスト」のトヨタに対し、「ガソリンエンジンに電気モーターでアシスト」のホンダ。
だから燃費では劣る(実際プリウスの方が大きいのに低燃費)が、そのかわり得られたのがこの「低価格」というコトなんだろう。
プリウスみたいに「スイッチを入れる」というカンジではなく、始動は従来どおり「キーをひねってセルを回す」し、オイルも「普通のガソリン車のサイクルで交換してください」となっている。
ただ、推奨オイルについては、最近流行りの「バカ高い低粘度オイル」ではなく、「ホンダ純正10W−30」でイイとのコト。
このあたり、どんなに高性能低燃費エンジンだっつってもオイル代ケチって「鉱物油10W−30」しか入れないボンクラオヤジしか居ない昨今には、「かなり良心的」なのではないだろうか。
そして「ホンダには珍しく」エンジンルーム上方からオイルエレメントが見えるレイアウトになっている。

エレメント

この辺も、「全てカバーで覆ってオイル交換さえ拒むクラウン」とは対照的で好感が持てる。

能書きが長くなったが試乗である。
走り始めは、「少しつんのめるカンジ」がする。
これは、基本停車中はアイドルがストップするから、というのもあるのだろうが、ただでさえ低速トルクの細いホンダエンジンに、ボディサイズに対してプアな1300ccというのも相まって、正直違和感がある。
ただ、タイヤが転がり初めてエンジンが2000rpmくらいになると、一転してシャープな加速を見せる。
「ホンダのエンジンは回してナンボ」というのは受け継がれているようだ。
ただ、この「シャープな部分」をもって同乗したセールスさんに、

どうです?結構イイ加速するでしょう!?

なんて言われてしまうと、「つんのめるカンジ」を押し殺して「あぁ、そうですね」と迎合してしまうワタシは世間で言うトコロの「いいひと」なんだろう。

減速時にはリターダが強く作動して、「ブレーキも踏んでいないのに後ろに引っ張られるカンジ」がする。
つまりクセがあるのだ。
あと、細かいコトを言えば、渋滞時のアクセルのオン・オフでギクシャクした挙動になったり、必ずしも毎回アイドリングストップするワケではなかったりと、全てが完璧ではないのだろうけど、そんなのは「慣れ」でなんとかなってしまう。

それよりも、カタログスペックでリッター30キロ走る、5ナンバーサイズのハイブリッド車が200万円、というコトの方がインパクトが大きい。
こんどのプリウスは、さらに大きく、さらに上の価格帯に・・・
なんて言われても、萎えるばかりの今日この頃なのだから。

あと、スペアタイヤは積んでいない。
これは最近の自動車業界のトレンドのようで、「パンク修理キット」が申し訳程度に積まれていた。
まあスペアタイヤが付いていたって、「タイヤがパンクしたので、スペアに交換してください」と近くのガソスタに駆け込む輩ばかりの昨今である。
「どうせ使わないなら、いっそ要らなくね?」というのは、その通りだと確かに思う。
スペアタイヤを廃した分、トランクルームはバッテリーが場所をとっても結構広い。
ガバっと大きく開くリアゲートも申し分ないだろう。

それから、ステーションワゴンの中でも「胴長」のカルディナ(今の愛車)と比較するのも酷なハナシだが、後席はハッキリ言って「狭い」。
特に足元が窮屈で、後席に乗車の場合には前席は少し窮屈なくらいイスを前に出す配慮が必要になってくる。
容赦なく「一番後ろ」まで下げられては、「足すら入らない」というのが実情だろう。

ならば後席をもう少し、せめて5cm後ろに・・・

と思ってしまうのだが、プリウスよろしく後方に向かってなだらかに下がるフォルムのため、これ以上後ろに座らさられては頭が天井に当たる。
でも、4ドアなんだから、「足が組めるほど」とは言わないが、せめてもう少し後席に「ゆとり」が欲しかった。
タクシー各社も導入に向かって触手を伸ばしているらしいが、これでは後席のドアを開けて「さあどうぞ」とは言い難い。
なぜモノコックを5センチ延長しなかったのか、悔やまれるトコロである。

ちなみに、200万、200万と言っているが、中核となる一番下のグレード「G」タイプで、なんにも付けない状態が189万円である。
コレの上のグレードが「L」、さらに上が「LS」となるのであるが、「G」と「L」の違いは「ディスチャージヘッドランプが標準装備」であること。
それだって、「G」にオプションで付けることができる。
あと「LS」にはアルミホイールが標準装備になるらしいが・・・
正直、16インチのアルミなんて今どき珍しくもないし、ウインカー内蔵ドアミラーだって「オプションでもう少し小さいドアミラーないの?」って言いたいくらいだ。

だから「G」タイプでいいのである。
「G」タイプでイイのであるが・・・全てが「オーディオレス」である。
もう、オプションの純正ナビを付けることが前提なのである。
性能は良いのだろうが・・・正直20万円のナビというのは考えられない。
6万円の「ワンセグゴリラ」で充分である。

だから、189万円なのである。
(ま、希望を言えば63000円のサイドステップだけは付けたいトコロだが・・・)

そんなワケで、久しぶりにカーディーラーで「カタログ」なんて貰ってきた今日この頃。
辛口えふぴーのもう少し長い期間の試乗インプレッションなど聞きたくなったホンダ関係者の皆様、「長期モニターテスト」の依頼大いに歓迎、である。
メールフォームからお気軽にご連絡頂きたい。
違うか。w