60過ぎてから掴む銭が、ほんとうのゼニだというが、・・・

先日母が、地元の高校の同窓会に行ってきた。

300名ほどの同窓生。
そのうちで、連絡を取れたのが200人ほど。
そのなかで参加できたのは、たったの70名だったという。

参加できた人よりも、連絡先不明の人の方が多いとは、・・・

それが「世の中」というものである。

たとえ連絡がついたとしても、参加できない。
遠方に居住しているから、病気療養中だから、まあ理由はいろいろあるが、「わざわざ出るまでもない」というのが、ほんとうのトコロではないだろうか。

つまり、卒業後40年も経って、「わざわざ」同窓会に出ようという人というのは、それなりに「社会的に成功した」という自覚あってのことだと思うのだ。

母の年代においては、女性はともかく、男性にはその傾向が強いようだ。
事実、参加した男性陣というのは、某大手鉄鋼メーカーの重役を歴任していたり、地元で従業員100人ほどの建設会社を経営していたり。
あとは地元に残って商店、旅館を継いだヤツらばかり。(それでも一応「社長」だ。w)

「立身出世する!」

なんて意気込んで東京を目指したはいいが、いまはアルバイトしながら細々アパート暮らし、では、わざわざ旅費かけてでていく意味も意義も、なんにもないのである。

いや、なにも「そういうヤツは出るな」と言っているのではない。
出たトコロで、65にもなってパリっと真っ白なスーツを着こなした“元同級生”(実在したらしい)に、「去年までドバイに行ってきた」なんてハナシを聞かされるのが関の山。
こちらが自慢できることなんて1つもなくて、溜息つきながら故郷を後にする。
そんな“同窓会”なんて行ってもしょうがないじゃないか、というハナシなのである。

ちなみに前述の「元社長」殿。
駅前に自宅があったハズだが、更地になっていたそうだ。

成り上がりの没落を心待ちにしている世間からは、

「ついにあのバカ、家屋敷も失った。w」

と言われているらしいが、本人に言わせれば年200万の固定資産税がバカらしくなって(←それくらいの資産価値だと暗に言っているんだな。w)売り払い、郊外に転居。
このとき土地の名義を奥さん、建物の名義を息子にしたことから、こんどは多少の事情通からは、

「あいつも女房にうまいことやられた。w」

と陰口を叩かれているらしいが、本人に言わせればこれは「相続対策」。
それも“節税”とかいうハナシではなくて、“伯父の死を心待ちにしている甥っこ姪っこ”向けの「相続対策」なんだという。

そういったハナシをフンフンと聞いているうちの母というのは、立身出世ゲームには参加しなかった余裕だろうか、それとも、自衛隊に35年務めた「お父さん」のお陰で、悠々自適の年金生活をしている“勝ち組”というコトなのだろうか。

まあ人生「勝った」、「負けた」ではないけれども、60過ぎたら同窓会ぐらい顔出せるようになっていたいね、というハナシであって、30過ぎの「今」の段階で、少々ゼニがある、知名度があるからって自慢するもんでもないね、というハナシなのである。