混沌

福生駅界隈に行ってきた。
福生」と言われてもピンと来ないかもしれないが、「在日米軍横田基地の周辺」といえば通りが良いだろうか。
国道16号線沿いのフェンス越しに「アメリカ」が広がる街だ。

過去に何度か来たことがあるが、「周辺を散策した」というのは初めてかもしれない。
まずは基地の周りをぐるり一周して、その広さを再確認した。
青梅街道を西へ向かうと、三鷹あたりから景色が一変して畑などが目立つようにはなるが、それでも「東京」は「東京」。
そんな首都東京の西部に、こんな広大な土地が戦後返還されずに占領され続けていることを思うと、未だに色濃く残る「戦争」と「敗戦」という事実を考えずにはいられない。

残念ながら日曜日だったので航空機の離着陸などは見られなかったが、狭い土地に狭い道路が張り巡らされた「日本」と、フェンス1枚で仕切られた先にキレイに芝生の整備された広大な土地と、そこでジョギングやサイクリングを楽しむ米兵とその家族。
まぎれもない「アメリカ」がソコにはあった。
あのフェンス越しに「日本」を眺める彼らは、そういう光景をいったいどのように思っているのだろうか。

そんなコトを考えながら、福生駅前にかなりの面積を占有する西友に車を止め、ゲート前の国道16号沿いの界隈を目指す。
在日米軍の再編で縮小均衡にあることは間違いないらしく、なんとなく迷彩模様のTシャツを売るお店以外には、イタリアンレストランくらいしか印象に残らなかったが、最近流行りのヒップホップ系ショップにたむろする黒人の雰囲気は横須賀にも通じるものがある。
そんなショップをプラプラと眺めながら2番ゲートと5番ゲートの間を行き来して、福生駅へと戻る。
福生駅周辺も一本路地を入るとタイ料理店などに混じって妖しげな店も並び、その混沌としたカンジは日本とは思えない独特なものだ。
寂れた廃れたと言っても、紛れも無い「アメリカ」がソコにはあった。

任期もあとわずかとなり、重要法案の審議もソコソコに国会を閉会して海外旅行の小泉首相
大統領のリップサービスに大はしゃぎして浮かれる様はまさに「バカ学生の卒業旅行」そのものだが、在任中あれだけ尽くしたのだからこれくらいのご褒美は「当然」だろうか。
そんな世界のガキ大将アメリカとともに歩んできたこれまでの60年は、確かに間違いではなかったのだろうが、最近の暴走ぶりを見るとそんなアメリカとの関係も転換期に入っているという認識を否定できない。
彼らの目だって、最近では中国や東南アジア諸国に向いていることだろう。

米軍再編に伴う沖縄の負担軽減と、その反動で負担の増える岩国。
首都東京の西部を占有する広大な「横田空域」の民間開放などもようやく言われるようになったが、これまでタブー視されてあまり話題に上らなかった「未だに残る戦後のニッポン」を、改めて考えるいい機会となった。
明日7月4日のアメリカ独立記念日には花火、来月8月には基地の一般開放もあるらしい。
終戦記念日を前に「靖国」をココから眺めてみるのも、いいんぢゃないかと思う。

ちなみに、福生周辺を散策するにはフリーペーパー「LOOKING AROUND FUSSA」がオススメ。
ところで、黒人の店員さんってなんで外で店番してるんだろ?