環七のラーメン店

駐車違反取り締りの民間委託や、駐車している証拠写真をデジカメに収めるだけで「違反」として検挙できるなど、何かと話題になった改正道交法が施行されて1ヶ月。
その総括として、「道交法改正のその後」が最近また話題になっている。
渋滞は3割解消、駐車場の利用率が4割増、というのだから当初の目論見である目的は達成できたということになる。

駐車してはいけない場所に駐車するのが悪いんであって、それが取り締まりの手薄なのをいいことに恒常化して、「あたりまえ」になってきたことに問題があるのだからハナシはそれで終わりなのだが、必ずその報道の後に加えられるのが「売上激減の環七ラーメン街道」のハナシと問屋街のハナシ。
問屋街については警察も一定の理解を示して、「貨物車に限り駐車可」という路線も設定されてきたみたいだし、業者の組合などが共同駐車場の用意をするトコロもあるらしい。
それも「当たり前」と言や当たり前のハナシで、それまでドライバーに「自己責任」で違法行為を強制していた運送業者が「負担増で死活問題だ」なんて騒ぐのの方がお門違い」と言えよう。
(たしかに民営化が決まっている郵便集配車だけ「対象外」なのは不公平だが、郵便集配車も検挙の対象にするハナシであって、決して「貨物車が対象から外れる」ハナシではないというのを自覚して頂きたい。)

で、もっとお門違いなのが今日のお題でもある「環七沿いのラーメン店」。
家賃的に割高な駅前立地を嫌い、主要幹線立地である「環七通り」に店舗を構えた段階で、「客は自動車で来店する」のは大前提だったハズ。
なのに用意した駐車場は1、2台あればいいほうで、果ては「全く用意していない」という店主が「売り上げが減った」と窮状を訴えるのは、吐き気がするほどお門違いなハナシではないだろうか。
「駐車禁止ではあるが、みんな停めてるし、お客さんも路駐して食べに来てくれていた」というのは、客商売の心構えとして最低だろう。

ラーメン通といえば、トラックの運転手に多い。
乗っているトラックもかなり大型なものが多く、少々の駐車場では入れないし、そもそもドライバー自身が駐車場に入れるのを面倒がる。
食事時ともなれば、国道4号線などせっかく渋滞緩和の為に拡幅されたバイパス道路の片側1車線が、大型トラックの駐車スペースと化して列をなすことも珍しくない。
大型トラックがゆったり停められて、なおかつ「美味い」となれば大繁盛のお店となるが、なかなか両方を兼ね備えた店がないというのも事実。

また、駐車場を用意できなければ飲食店、とくにラーメンのような客単価の低い飲食店が開業できないのであれば、「美味いラーメンを食べさせたい」という開業希望者の敷居が高くなり、資本家でなければ参入できない業種になってしまっては、「美味いラーメン」に今後出会えなくなる可能性もある。
しかしながら交通事情の変化により、渋滞が慢性化している主要幹線道路沿いで、あたかも自分の店先を駐車場のように使って商売しておいて、「駐車場を用意する資金がない」は無いだろう。
その渋滞を緩和する為にさらにバイパス道路が建設され、先日の環八開通ではないけれど巨費を投じた道路建設が行われるのであれば、ごく一部の受益者(商売人)の為に国民の税金が使われていたと言っても過言ではないのではないだろうか。

大手コンビニも駐車場のない、又は狭い店舗を閉鎖して近くに広い駐車場を完備した店舗をオープンさせている。
主要幹線立地であればトラック駐車スペースを確保している店舗も少なくはない。
築後間もない旧店舗がもったいないという議論はさておき、客が車で来る(呼ぶ)のであれば駐車場はあってしかるべきであり、駐車場まで含めた店舗経費をペイできるビジネスモデルを構築することが、経営者として当たり前なのではないだろうか。