ラブホテルの広報活動

一般に「ラブホテル」と呼ばれる業態の、清掃・ベッドメイキングといった裏方の仕事。
そういった職種の「求人広告」はよく見かけるのだが、その募集に応募して採用されたというハナシを、聞いたコトがない。

それはややもすると、あれの趣旨は営業広告であって、「ココにラブホテルがあります」と不特定多数の方(特に女性)にさり気なく知らしめるには、「逢引きならココ」と堂々と名乗るよりも数倍効果のある、業界では定石の手法なのではないかと下衆の勘繰りをしてしまうくらいに、倍率の高い求人だったりする。
実際、ネオンサインが賑やかに存在を主張しているトコロというのは、見るにはいいが実際入るのは気が引けたりするものだ。
あまり経験はないけれど。

とある求人広告チラシがある。
チラシを単独で新聞に折り込む場合、チラシの製作は枚数と色使いにもよるがそれなりの予算で容易に可能だったりするのだが、肝心の「折り込み料金」がチラシ制作費以上にかかり、意外に思い通りのエリアへ配信できなかったりする。
ソコで紙面を碁盤の目に細分化し、それぞれのコマを皆で共有して、1枚のチラシとして新聞に折り込んでいるものもある。

これらの多くは零細の広告代理店もしくは新聞社の関連子会社などが企画していて、必然的に継続的クライアントと成り得る主体企業の存在(人材派遣会社とか)があって、大抵はそういう主体企業と資本関係にあるのが常である。
もともと主体企業は継続的に新聞折り込みチラシを配信する必要があって、その「ついで」にヨソさんの情報も掲載するのであるから、採算面で折り合わなくても多少の足しになればそれでいいのだが、勤勉な営業マンによってもしかしたら主体企業の折り込み経費は「ゼロ」となっているかもしれないと思われるほど、協賛企業の多いものもある。
(まぁ創業時はじめ広告主が不足した場合には、否応なく残ったスペースを買い取らなければならないワケだから、主体企業からすればそれくらいの恩恵はあってしかるべき、なんだろうけど。)

で、そんな中でも広告主の多い求人チラシがあって、そのチラシを企画する会社は他に求人誌であったり、求人情報を掲載するWebサイトであったりを運営してたりもする繁盛ぶりだ。
で、そんな人気の求人チラシであれば、その一コマを安く買って営業広告でも掲載すれば、さぞかし効果的なんだろうなぁと安易に考えて、問い合わせをしてみた。
結果は・・・
非常にハキハキした営業マンが電話越しに、「やんわりお断り」されてしまった。
曰く「求人チラシ」なので、「求人」の内容が無ければ掲載はできないとのコト。

そんな対応に、とっても「もったいない」というか、「ケチくさい」というか、そんな気持ちになったりしたのだが、こういう毅然とした態度が、もしかしたら大繁盛の秘訣だったのかもしれない。
客が来ない、来ないからせっかく来た客に媚び諂う。
媚び諂うから客はさらに尊大になり、無理難題を押し通すようになる。
なんて負のスパイラルから抜け出す秘訣が、「高飛車で行く」コトだったとしても、なかなかそれを実践するのは難しい。
そうだ「高飛車で行こう」。