基本的人権

福岡県警が制作中の青少年向け「暴力追放啓発ビデオ」を巡り、そのビデオのモデルとも言われる指定暴力団側から、「組員の子供へのいじめの原因になる」として、中学校、高校での上映の中止を要請する文書が提出されたんだとか。

「子供がいじめられる」。
子を持つ親ならとても共感の持てる「もっともな理由」ではあるのだけれど、非社会的な組織に所属する構成員が、その組織に所属しているコトに起因する理由で「いじめ」に遭うというのは、果たして「もっともな理由」なのだろうか。

確かに親の職業が何であれ、子に親を選ぶコトはできないワケだし、親の職業について子が意見を持つことも、その親の「職業」によって自分が養われていると考えれば、自身が経済的に自立するまではどうのこうの言えるものでもないだろう。
そんな親の職業が、「反社会的な活動を行う組織の構成員」だとしても、やっぱりどうすることもできないだろう。
子の立場から言えば。

親の立場からすれば・・・
「子供が生まれた時点で足を洗っとけ」は理想論であり、机上の空論でしかないだろう。
自らの生業によって生活してきたワケで、それは子供が生まれても変わらない。
それについて特に「どう」と考えるコトもなくこれまでやって来た訳で、それはこれからも変わらないだろう。

そんな自らの所属する組織が社会的に排除されるのも今に始まったコトではないし、排除されながらもカタチを変えながら無くなることなくこれまでやってきた。
社会的排除により組織が弱体化するワケでもなく、むしろ全国的なヨコの繋がりなどによりその組織力は年々強力なものとなり、その「反社会的活動」も年々巧妙なものになっている。

となれば・・・
世襲で親の稼業を継げ」とも言う気もないが、今回の程度の排除活動に対してどうこう言う必要などあったのだろうか。
親の職業がいじめの原因になるのは、公務員であっても不祥事を起こした企業の従業員であっても同じコト。
だいたい、暴力的な手段も辞さない反社会的組織の構成員の子供は、それを知っていていじめられることなどあるのだろうか。
もっと言えば、いじめるコトはあっても、いじめられるコトなどないのではないだろうか。

で、あたかも「社会的に排除された被害者」的訴えの指定暴力団
今回の訴えは、時代も変わってやくざの子供でもいじめられるようになったということなのだろうか。
それとも、県警による自作自演の広報活動だったのだろうか。
ヒトの人権を蹂躙するのを生業としているヒトの、人権擁護要請。
なんだかとても違和感のある、主張なのでした。