観光名所の収益性とは

所用で原宿に出掛けた。
原宿とお隣の代々木、千駄ヶ谷の界隈は、高校生の頃からご縁のある界隈なので、原宿駅前から竹下通りの賑わいをとても懐かしく思った。

折角なのでその竹下通りをブラっと歩いてみたのだが、以前は無かった(と思う)大手ファーストフードチェーンが出店している以外は、ジャリ向けの洋服屋がひしめく雰囲気など昔と変わらなかった。
その洋服屋はもちろんトレンドに大きく影響されるので、店頭は今風の「萌え」系だったりゴスロリだったりして、昔は皆無だったブラザーが店番するヒップホップ系のお店が新鮮だったりするのだが、それでも「洋服屋がひしめく」というコトには変わりがない。

ただターゲットとしている、また集まってくる年代層の大半は未就業の学生なので、客単価2000円〜という洋服屋は、その人通りの多さの割には入店率が低く、また入店してからの買い上げ率も高いように見えず、「苦戦している」という印象を受けた。
逆に少数派ではあるが、客単価500円〜の小物アクセサリーを扱うショップでは、洋服に手が出なかった反動でもあるのか入店率も買い上げ率も高く、効率の良い商売をしているように見えた。

いずれの場合もメインの竹下通りに面していれば、テナント料もそれなりになってしまうコトを考えれば、果たして「オイシイ」業態かどうかは判別しにくい。
それよりも最新トレンドのアンテナショップ的位置付けで、採算を考えずにデータ取りに徹する運営か、「原宿竹下通りのブランド」というネームで郊外出店を目指すスタイルか、そんなモノが無ければ旨みが無いように感じられた。
つまりは「個人でココにショップを」というのは、あまり面白くないのではないだろうか。

折角なので近くの「表参道ヒルズ」も訪れてみるが、コチラはさらに敷居の高いテナントが並んでいるので(それも意図的にそういうテナントを集めているハズなので)、客層の年代は明らかに高め。
すぐ近くの竹下通りの喧騒もジャリ達もココでは皆無だった。
ただ、その話題性と集客力の割には入店率が低く、テナント内は閑散としていて寒い雰囲気だったのだが、ソコは「ヒルズプレミアム」とも取れる世間離れした客単価で辻褄を合わせているのだろうか。

いずれにしても猛暑が続く昨今、「涼みに冷やかしてブラブラ」というのには、全館冷房完備のこの界隈はちょうどいいのかも知れない。
ココはあと2年もして、たいした話題性もなくなって集客に困るようになった頃、その高すぎる賃料からテナントの撤退が相次ぐのではないだろうか。

なんて、東京でも名だたる観光名所を歩いて、その採算性にばかり目がいってしまうというのもどんなもんだろうかと思うが、竹下通りから一本裏手にバカでかいパーマ屋さんが2フロアで堂々営業しているのを見ると、その採算性を考えずには居られない。
1日見て歩いた中で一番合理的な立地にある、「階段下の2坪弱のスペース」で雑貨を売るオバチャンのお店でリストバンド1コ360円也を買って帰る、東京観光なのでした。