乖離

クレジットカードを勧める立場にいると、『クレジットカード』というものの存在と仕組みについては周知のもので、それでも作らないヒトというのは過去に失敗をしたコトのある人か、『カード破産』というコトバだけが先行した耳年増な人か、そんなくらいに思っていた。

それでも、『クレジットカードって現金とどう違うんですか』みたいな少年がいて、マイルやらなんやらの特典に惹かれてワケも分からず申込書を書く。
その申込書の裏に書かれた細かい文字の意味も知らずに。
そういうので成り立っているものだと思っていた。

先日キレイなお姉さんを派遣してもらって、大々的なキャンペーンを打った。
と、その後めでたく届いたクレジットカードを手に、『このカードはどうやって使うのか』という質問が殺到している。
それも、結構な人生経験を積んだ『いいオッサン』が。

ろくに説明も聞かず、若いオネエチャンに鼻の下を伸ばして、言われるままに何でも書いて、なのだが、その理解の無さには驚かされる。
曰く、『カネはどうやって払うのか』とか、『オレは銀行に口座なんか無い』とか、『金利はいくら取られるのか』とか。

つまりは周知されたと思っているのはこちら側だけのハナシであって、クレジットの先にあるのがデビットカードであり、その転換期に向けてクレジット各社がいま凌ぎを削っているだとか、『小切手』が浸透したヨーロッパ圏でなければデビットカードは成立しないだとか、そんな議論などチャンチャラおかしくなってしまうのである。

そんな業界の内と外、サプライヤとクライアントの乖離が顕在化してしまっては、売り手の思惑通りの展開など望めるハズもない。

ニーズを掴む前にまず実態を的確に把握するコト。
そんな基本の『き』が、いかに難しいか実感しながら、クレジット売り上げ票を後生大事に持ち帰るお父さんを見送るのでした。

ソコソコの年収とソコソコの動産、不動産を持つカモがまたひとり。