Do you have HONDA?

「ホンダ」という会社を初めて知ったのは、世間で言うトコロの「ホンダF1第二期」。
「A・プロスト」と「A・セナ」というどちらも名前が「A」のドライバーが、1.2フィニッシュを飾ることがお約束というか、当たり前というか、そんな全盛期の頃だ。
フジテレビが深夜枠でしかF1を中継せず、翌日の新聞記事もほんの3行、そんな「知るひとぞ知る」マニアックな世界だった頃のハナシで、ワタシはまだ中学生だった。

その頃はドライバーがどうとか言うコトは知らなくて、それよりも本田宗一郎が作った会社が「世界一」になったというコト、V型12気筒1500ccのターボエンジンは、予選用のスペシャルで600馬力以上の出力を発生させていたコト、などを聞きかじっては、自分のことのように陶酔していた。
その後「常勝ホンダ」へのバッシングからレギュレーションが大きく変更され、得意のターボも禁止。
なかなか勝てなくなった環境からつまみ出されるようにフェードアウトしていく様を見ていて、「F1は所詮ヨーロッパのものなのか」と勝手に解釈していたものだった。

その後ドライバーとしての「A・セナ」が「アイルトン・セナ」として人気を博し、かつてのチームメイトだった「アラン・プロスト」との確執、そして突然の死。
さらにはフェラーリ復権シューマッハ兄弟の台頭など、話題には事欠かなかったワケではあるが、それとは裏腹にワタシのF1熱はみるみる冷めていった。
テレビ局によって過度にショーアップされた「F1」が、好きになれないというのが正直なトコロだろうか。

ともかく、そんな「独創的」な技術に憧れて、オヤジに買い換えさせた新車は「ホンダ」。
以来ワタシの実家では、ずうーっと「ホンダ」に乗り継いでいる。
ところがこの「ホンダ」、自動車整備の業界ではとても敬遠される存在だった。
なにせ、整備できない。
日常のメンテナンスすら考慮されていないかのエンジンは、オイルエレメントの交換すらままならない。
町工場の整備士の調整をことごとく嫌い、ちょっとでもいじると元に戻らなくなる。
軽整備の範疇を超えると専用工具なくして作業はできず、使っている部品も特殊、特殊。

それが「他社の技術を真似るくらいなら、潰れたほうがマシ」という理念によっているとは、つい最近になって知ったハナシだ。
で、日曜大工に車いじりが趣味のえふぴーは、そんな「いじりにくい」ホンダ車は敬遠してきた。
でも、保有するバイクは決まって「ホンダ」。
こんどこそカッコいいカワサキ、と心に決めているのだが、なぜか「ホンダ」。
乗っては100点満点なのだが、「ちょっとカスタマイズ」に応じてくれない「ホンダ」。
そんないじりにくさを実感して、改めて「ホンダ」を再認識してみる。

そのホンダが、39年ぶりに単独チームとしてF1優勝した。
「39年ぶり」とは言っても、BARを買収して子会社化した今回は、第一期の全て手探りな頃とはイコールではないだろうが、それでもF1に復帰して久々の優勝だ。
1500ccターボを知らずしてF1は語ってほしくない、とは、あくまで「ひとりごと」としておこう。