間合いを詰める

女性がface to faceでコミュニケーションをとる場合の物理的な距離は、男性のそれに比べて短いそうだ。
経験的には、特に視力の低い女性は極端にその距離が近いように思う。
このことを知らないと、自分の「常識」とする限界線をはるかに越えて接近してくる女性に対して、「とんだ勘違い」をしてしまうから注意が必要だ。
とはいえ、分かっていても肩に手を回したくなる衝動というのは、男性なら誰しもが経験したことがあるだろう。

そういう物理的な距離の他に、対人関係には目に見えない距離感というのがあって、それは物理的な距離感と同じように個々が持ち合わせているものであり、その距離感によって対人関係もバランスを取っているように思う。
よく、「飲み屋でたまたま隣り合わせた人と意気投合して・・・」というハナシを聞くが、特に初対面では人並み以上に距離を取ってしまうワタシからすれば「ありえない」ハナシだし、そんな対人関係を築いてしなうヒトというのを羨ましく思ったりする。
「飲み屋でたまたま隣り合わせた」という偶然に身を任せるコトで、意図しない方向へとその後事態は発展し、ついには自分をも見失ってしまうような恐怖感が先行してしまって、とても面白そうなニオイのするお誘いを受けても、「また連絡します」とその場を取り繕ってうやむやにしてしまうのだ。

最近お付き合いするようになった人に、その距離感が異様に近いというか、半ば意図的に間合いを詰めてしまうヒトがいる。
例えばお客さんと顔見知りになり、よく世間話をするようになり、「ワタシはいつでもあそこで飲んでいますから、いつでも来て下さい」なんて言われたとする。
ワタシはソレを「社交辞令」と取り、「そうは言ってもホントに来られたら迷惑なんぢゃないだろうか」なんて考えて、、まさかホントに行ったりはしない。

とそのヒトは、ホントにその場所に行ってしまう。
それも、そう言われた週末には早速、だ。
「ホントに来たのかい」なんて言われても全然気にしない。
で、お客さんの周りのお友達まで紹介されて、一歩踏み込んだ関係がソコで築かれる。
ワタシはというと、相変わらず世間話のままだ。
いつまでも世間話のまま、というワケでもないし、嫁から言わせれば相手の距離感に合わせて少しずつ間合いを詰めていくのがワタシの持ち味でもあり、またそういう手法だからこそ相手からも只ならぬ信用を得られるのだ、というコトなのだが、この「一気に間合いを詰める術」というのがなんとも羨ましかったりする。

危険な匂いを嗅ぎ分ける嗅覚と、ヤバイと思った場所から逃れる術、それに、ソコに巻き込まれるコトにより自分に降り懸るリスク、なんてのを客観的に分析できれば、そんなに怖がるコトもないハズなのに。
見かけによらず意外に気が小さいトコロも、実はオヤジに似ている。