子作りは好きですが、

産婦人科の医師は、求人難だそうだ。
産婦人科は医療事故などによる患者からの訴訟率が高く、さらに開業するとなると入院の可能な施設を用意しなければならないので、費用が割高になる。
そういう理由から若いドクターから敬遠されているらしい。

国の少子化対策の一環として、出産にかかる医療事故については過失の所在に関わらず補償する制度の創設も検討されているが、資金の捻出について「税金」とするか「産科の医師」とするかは意見が分かれているらしい。
生命の生まれる「出産」という行為は感動的ではあるが、人間の最も動物的な活動とも言うコトが出来、それゆえ不測の事態により母子ともに命を落とす可能性も高い。

そんな医療事故の当事者となってしまった場合の訴訟についても、医師側の明らかな過失を証明しなければ賠償を受けられないのだが、それは容易なことではない。
そんな患者側の救済と考えれば「税金」から賠償金を拠出するのも納得が行くが、懐の痛まない医者の暴走を危惧する声も一理ある。
アメリカのように、産院を1年営業するのにかかる保険金が高額になりすぎて、それゆえ「金儲け」に走らざるを得ないというのも健全な状態とは言い難いので、よく吟味した上でこの制度は是非とも創設して欲しいものである。

堀病院の無資格助産行為が話題になっている。
「分娩数日本一!」というスローガンが同業者のヤッカミを買ったのか、恒常的な助産師不足をいいことに看護師や准看護師による内診行為が行き過ぎだったのかは知らないが、ココの院長も80にもなって随分な修羅場を迎えてしまったものだと思う。

そもそもはこの病院での出産で起こった医療事故に端を発しているらしいが、「医師・助産師以外の内診行為禁止」を唱える厚生労働省の「見せしめ」的意味合いが強いように思える。
ただ、一部の内部告発や報道などによるとココの院長は、報酬的にも高額で「お産」について意見を述べる助産師を嫌い、意図的に意見を言わない(准)看護師を重用していたとも言われているので、厚生労働省からすれば「いつかは」だったのかも知れない。

ただ、年間3000分娩とは1年休ますお産をしたとしても1日平均8.2件であり、それだけの賛同を得られる産院というのには人を惹きつける何かがあったのかとも思う。
こんなことになって院長が「医院を辞めます」なんて言い出したら、一番迷惑を被るのは取りも直さずソコに通っている妊婦さんだというコトを考えると、この「医」の問題の難しさが垣間見える。

政府の少子化対策はまた、不妊治療助成を20万円に倍増というのも打ち出した。
何にせよ前回の介護保険同様に、国がカネをかける時というのはその周辺はバブルになるワケで、後から不正がどうの言ったトコロで使っちまったカネは帰ってこない。
今度こそ、文句を言う側から言われる側に回ってみたいと思うのだが、策は如何に。

子作りは、好きなのだが。