DIESEL

銀座の一等地に「DIESEL」と書かれたビルを見る度に、軽油独特の臭気とトラックの燃料タンクから垂れる汚いイメージが連想され、その小奇麗なビルとのミスマッチに違和感を覚える。
ディーゼルエンジンを発明したのもドイツのルドルフ・ディーゼルさんなのだから、同じ「ディーゼル」さんが高級デザイナーズブランドを立ち上げてもおかしくはないのだが、なんでまた「DIESEL」を前面に出したブランド展開なのだろうか。
(そのDIESELのやたらとカネのかかったHPはコチラ

と、思ったら、ヨーロッパでは「ディーゼルエンジンは汚い」は過去のハナシ。
その後の技術革新と改良により、「ガソリンエンジンよりCO2排出量の少ないディーゼルエンジンはクリーンでエコ」というコトらしい。
乗用車におけるガソリンエンジンとのシェアが50%(半々)というのも、そのイメージを裏付けるデータであろう。

対して日本における乗用車のディーゼルエンジンのシェアは0.1%以下。
それというのも四駆ファンやバニングカーオーナーを震撼させた都市部における「ディーゼル車使用の本拠の位置登録不可」。
トドメを指したのが首都圏の排ガス対策義務化だろうか。
日本におけるディーゼルエンジンのイメージはとにかく、「臭い・汚い・加速悪い」だろう。

そんな逆風とも言える日本市場へのディーゼル乗用車投入を、「先行投資」と考えるか「無謀」と考えるか。
欧州市場で自信のあるベンツは、満を持してディーゼル車を日本市場に投入するらしい。
この動きに対してトヨタは消極的、ホンダは「そのうち」とした。

折しも原油価格高騰を理由に暴騰している国内燃料油価格はその動きを後押ししているように思えるが、利害関係の一致している両者のこの価格に作為的なものはないのだろうか。
そんなコトを考えながら、関連ニュースを読んでいた。

ディーゼル車に復権の兆し 技術革新で「環境に優しく」

 「環境に悪い」というマイナスイメージが強いディーゼル車に復権の兆しが出てきた。技術革新のおかげで大気汚染の元となる窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)の排出量の削減が実現。本来の長所である二酸化炭素(CO2)排出量の少なさや、燃費の良さが評価されだしたからだ。欧州では環境意識の高まりを背景に広く普及しており、日本でも普及への期待が高まっている。
≪日本では「悪者」≫
 日本で販売される乗用車で、ディーゼル車の割合は毎年0・1%ほどにすぎない。3〜6割がディーゼル車の欧州各国に比べて、極めて低水準だ。
 その背景にあるのは、「環境に悪い」というイメージ。自動車業界では、平成11年に東京都の石原慎太郎知事がディーゼルトラックによる大気汚染の深刻さを訴えたころから、イメージが一気に悪くなったとの見方が定説となっている。
 しかし、ディーゼル車の環境性能はエンジン部品の電子化で燃焼を制御し、排出ガスに化学処理を加えることなどで格段に向上。「NOxでもPMでも、技術的にはガソリン車と遜色(そんしょく)ないレベルになった」(部品メーカー幹部)という。
≪燃費で優位≫
 ディーゼルエンジンには、地球温暖化の原因とされるCO2の排出量が、ガソリンエンジンに比べて少ないという特徴もある。また、燃料1リットルあたりの走行距離はガソリンより約30%も効率的。石油価格が上昇するなか「環境にも家計にも優しい車」として認知される可能性は十分だ。
 そこで、各社が国内市場へのディーゼル車投入に意欲をみせ始めた。
 ホンダは今年5月、平成21年までにディーゼル車を国内発売すると発表。「環境は地球レベルの問題」(福井威夫社長)との観点から国内需要増を見込んでいる。
 ダイムラークライスラーは今月28日、国内で発売するメルセデス・ベンツEクラスのディーゼルエンジン搭載車をお披露目する予定だ。他社も注目しており、その結果次第では「国内での今後のディーゼル車への取り組みが変わってくる」(大手幹部)とされる。
≪価格がネック?≫
 ただし、国内市場で40%超のシェアを持つトヨタ自動車は「無理に国内でディーゼル車を展開する必要はない」との立場。ディーゼル車は排出ガス処理装置などにコストがかかり、1台あたり20万〜30万円は高くなることが理由の1つだ。
 コスト削減には大量生産が不可欠。そのためには、世界最大の自動車市場であり、しかも日本同様にディーゼル車普及が遅れている米国で人気が高まる必要がある。
 業界内には「熱しやすい米国人の意識は、一気に環境問題に向かう可能性もある」との見方もあり、各社は米国世論に神経をとがらせながら、ディーゼル車戦略を練ることになりそうだ。
産経新聞) - 8月21日8時2分更新

いくらベンツと言えども、給油口から垂れた燃料が汚らしくては締まらない。
昔「垂らすな!」とよく怒られたなー。