原油市場とガソリン価格 前編

商品先物市場での原油価格の最高値更新のニュースが一般紙を賑わせていたが、『下がった』というアナウンスは記憶にない。
にも関わらずここ半月ほどで、高騰が騒がれたガソリン価格は10円内外下落した。

ダウンした原油価格をいち早く消費者に還元する動きによるもの、ではなくて、今回はセブンイレブン、ローソンのレシート裏に印刷された『ガソリン5円引きチケット』が引き金らしい。
買い物して受け取ったレシートをエッソ、モービル、キグナスのお店に持っていくと、ガソリンが20Lまで5円引きになる、というものだが、これがあまりにも反響が大きかった為の追随値下げらしい。

仕掛けが解ればたかが100円ぽっちの値引きなのだが、『1円でも安いガソリンを買う』が消費のトレンドになっているので、『5円引き』と言われると随分安く買った気になる。
月1000キロ走る一般的な世帯で消費するガソリンが月に120Lとして、1円安く買ったとしても高々120円。
実に『缶コーヒー1本』買えばなくなる節約でしかないのだが、あっちの店こっちの店と右往左往するドライバーや、月末だから値上げ前にと満タンにするドライバー。

いずれにしてもほんの2週間であっという間に10円も下がるのでは、『便乗値上げ』というコトバがちらついても無理はないだろう。
世間は3連休。
休み明けには業界団体が、市況是正活動に乗り出すのも容易に予想がつく。

そもそも石油業界に談合体質が強いのは、販売業者の損益分岐点となるガソリン1Lあたりの利益に、かなりのギャップがあることが挙げられる。
その要素は1店舗当たりの販売量や会社としての販売量、経営体質、副業の有無に過去から累積した債務など多岐に渡るが、実態としては5円以上の開きがあるのではないだろうか。
そもそも、フルサービスに対してセルフは3円差、ノンサービスはその間というのが一般的だが、店舗の規模、販売量にかかわらずコスト差がその程度しかないというのもおかしなハナシだろう。

そんな販売業者の7割方がペイできる市況の構築を目指すならば、体質の強い業者にはかなりの余力ができる。
その利益を出資者に配分すべく最大限の努力をするのが『会社』であるが、そうも出来ない事情がある。

『メーカーのシェア争い』だ。

石油元売はそれぞれに精油所という固定経費を抱えているので、当然『フル生産』した方が1L当たりのコストは低くなる。
しかしフル生産すると商品の余る能力過剰の状態が、到達の進んだ今でも続いているのだ。
だから、余力があるなら(安売りするなりティッシュ配るなりして)もっと量を売れ、というのが仕入先からの要求事項となる。

明日に続きます・・・

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