サウイフモノニワタシハナリタイ

男はタバコ、女は髪型。
コレを頻繁に変えるヤツは浮気性だと、昔聞いたコトがある。
今では女性の喫煙率が上がってしまって、タバコをコロコロ変える女性も珍しくはないが。
ともかく、そういう風に言われるくらい女性が髪型を変えるのは珍しいし、それくらい女性にとっては「髪を切る」というのが1大イベントという位置付けなんだろう。

タモリではないけれど、「髪型を変えた」というのは話題にはなる。
ただ「髪型を変えた」というのと「似合う」というのは別問題。
というか、従前の髪型であった期間が長ければ長いほど「見慣れている」ワケで、「新しい髪型」というのは新しいだけに当然「見慣れてはいない」。
つまり「似合うかどうか」を問われても、見慣れた従前の髪型の方が「似合う」と思ってしまうのはワタシだけではないハズだ。
対して新しい髪形は「新鮮」。
そういうコトだろう。

また「似合う」かどうかはそのヒトの主観でもあるワケで、仮に「似合わない」と言われてもパーマならまだしも切ってしまった髪は元通りにはならない。
となれば、例え「似合わない」と思っても忌憚なくその意見を表明するのは本人にとっては酷であり、分別あるオトナとしては言うべきではないと思っている。

そんな中、ちょっと微妙というか、なんともコメントに難しいヘアスタイルに一新した女性を前にして、「かわいいね」とココロにもない言葉がすんなり出てくるヒトがいる。
「似合わない」とは言うべきでないと思っているワタシではあっても、思ってもいないコトをスラっと言ってしまえる器用さは持ち合わせていないワケで、そういう一言が普通に出てくるヒトを心からスゴイなぁと思うのである。

対してワタシはというと、バッサリ切った新しいヘアスタイルがとても似つかわしく、思わず見とれてしまうようなケースであったとしても、すんなり「かわいいね」というコトバが出てこなかったりする。
後で「あの時言えばよかった」と思っても遅いのである。
思わないことを言えないとしてもさして問題ではないが、思っていることすら言えないというのは大いに問題であり、なんとかしたいものだと思う。
サウイフモノニワタシハナリタイのだ。
そして最終的には、思ってもいないコトすらスラリと出てくる達人にまでなりたいものである。

サウイフモノニワタシハナリタイ