東証

証券取引所』と言えば、何か公的な機関のように思っていた。
それが『大阪証券取引所の株式が上場』なんてハナシになって、どうやらそうでもないらしいと、証券取引所といえども株式会社なんだと認識したものだった。
だからナスダックがロンドン証取に敵対的買収、なんてハナシが出ても、さして不思議には思わなかった。

『家が建つ』とネット掲示板で騒がれたジェイコム株誤発注騒動について、みずほ証券はシステムを提供した東京証券取引所を相手に損害賠償を請求している。
この請求について東証は、『単に取引の場所を提供しただけ』と反論したそうだ。

確かに発行済み株式数を遥かに超える売り注文だし、その取り消し処理がうまくいかず損失が拡大したのは事実。
システムにも不備はある。
だが、『株数』と『価格』を間違う大失態を演じておいて、『システムが悪い』とはよく言えたものだが、それに『場所を貸しただけ』とはなんとも恐れ入った返答だ。

この誤発注に乗じて巨額の利益を上げた証券各社に対しお上が苦言を呈し、利益の大半はは天の声で『自主的に』返還されたが、税務上それを受け取れないとしておいて損害賠償請求では、東証もたまったものではないだろう。
まあこれが認められるのであれば、次に起こるであろうシステム開発元の富士通への損害賠償も大筋で内諾が取れたというワケで、そうやってみんなで穴埋めしあうのが日本式というもの。
みんな仲良くやればいい。

システムというものは様々なケースでの運用を想定して検証が行われるものではあるが、制作サイドはシステムに都合の良い条件でのテストを想定しがちであり、実際には一番風呂で実践運用された時に不具合を潰していってシステムを完成させる場合が多い。
ただ東証のシステムのように汎用性のないオリジナルシステムの場合にはそれが出来ず、構造的欠陥を内包したまま長年運用されているのが実情だろう。
それで訴えられるとすれば富士通も大変なものだ。
ただライブドア祭りの際に露呈したキャパシティの低さを考えると、法外な開発費が横行するIT業界とシステム投資に後ろ向きな経営姿勢の電子取引所が垣間見える。

いずれにしても株式は東証大証で取引『しなければならない』ワケでもない訳で、証券各社が模索する夜間市場取引から24時間取引市場への発展がとても期待される。
とにかく、『見せ玉』抑止に注文しただけで課金なんて寝ぼけたコトを言い出す取引所に集中する現状からは、脱却しなくてはならない。
外為取引は世界の市場を連結させての24時間取引が主流なのだから。

あ、それを言うなら3時にシャッター下ろしやがる銀行が先か。
政治献金するくらい儲かった、と言うならそれくらいは、ね。