ネコと飛脚

民営化決定と同時にゆうパックがあちこちと提携して台頭してきたが、その前は宅配便と言えば「クロネコヤマトの宅急便」の時代があった。
その頃佐川急便は法人をメインにきめ細かいセールスを展開していて、荷扱いこそ荒いものの、配送が早くて深夜まで集荷してくれると重宝されていた。
日本全国での運送事業者としてドライバーを全て社員雇用し、「遅くて横柄、しかも面倒」な郵便小包に取って代わろうとしたヤマトに対し、各地域の運送事業体を線で結ぶ佐川。
方法もターゲットもアプローチも違うが、ともにニーズを掴んでいたコトは間違いなかった。

民営化決定と同時に客への手のひらを返したゆうパックではあるが、末端の配達員までの意識改革は進まないようで、サービスレベルは「利用したい」と思えるものでは未だにない。
全国均一のサービスを目指すヤマトはドライバーの裁量に委ねられる部分が少なく、有り体に言えば運賃をまけてはくれない。
対してドライバー個々の営業力を重視する佐川は、それだけドライバーの裁量に委ねられる部分も大きく、つまりは「まけてくれる」場合が多い。

つまり商
売で使うなら「法人の佐川」なのだが、発送の度に書かなくてはならない「送り状」が、ヤマトはなんとインターネットのサイトから印刷可能なのだ。
このことは元来達筆な上に、パソコンばかり使って「書く能力」の退化してしまったワタシにとっては、とても魅力的だ。
そのサイトの出来は非常に素晴らしく、送り状の印刷から到着確認メールの登録、さらには集荷の依頼までもが一連の流れの中で完了してしまう。
送り状を手書きして電話で集荷を依頼する佐川とは雲泥の差なのだ。

その使い勝手の良さからついついヤマトを呼んでしまう度に、いくら送料が購入者負担だからとは言え、若干割高な運賃を負担させてしまう罪悪感を覚えたりする。
なら佐川がそういうサイトを作ればいい、と思うのだが、営業所とのやり取りを電話でしてきた事業体が、急にメールに切り替えられるワケもないコトは、ゆうパックのおっちゃんが未だに横柄なコトを思えば自明だろう。

それだけ、社内の風土改革は難しく、また時間のかかるコトなのだ。
世の中、なかなかうまくはいかないものである。