演出

dubrock2007-03-13


民主党の手引きによる市民運動でその気になった、都知事候補のハナシではない。
テレビでラーメン屋の特集番組は、高視聴率間違いなしの鉄板企画らしいが、ご多分に漏れず放映されるとついつい見てしまい、見れば決まって食べたくなってしまう。
そんなわけで、テレビによく出てくる秦野のラーメン屋さんに行ってみた。

夕方の時間帯とあって混雑は察しの通りだが、入り口から駐車場を横切り道路にまで達しようかという行列を目の当たりにすると、とても並ぶ気にはならずにスルーしてしまった。
そのお店、「行列のできるお店」として都内にも出店している有名店なのだが、その混雑は慢性的で休日は特に顕著。
「申し訳ありません」と寒空の下で待つ客を気遣う言葉がホームページにも並んでいるが、客を待たせることについて本当に「申し訳ない」と思っているのだろうか。

電車などでのマナーの悪さを注意されると逆上するくせに、「有名店」の肩書きには平伏してしまうマゾヒズムの極致が、「待つのも醍醐味」なんて言わせてしまうのだろうが、そうやって大人しく並んでしまうことが、店主を付け上がらせているとは言えないだろうか。
混雑が慢性化しているのであれば、座席数の確保なりウエイティングルームの設置なり、何らかのインフラ整備を考えるのが経営者だろう。
メディアに露出するなら尚更だし、それらの設備投資が収益に見合わないのであれば、それはビジネスモデルがオカシイということである。

開店して初めての客を迎えた喜びを思い起こせば、毎日寒空の下客を並ばせておけるハズがないのであるが、写真はそんな繁盛店一つが実は「2階席」を塞いでまで1階に客を待たせていた現場。
1階の行列は「混んでますよ」「繁盛していますよ」という演出だったのだ。

確かに、オヤジがカウンターで新聞読んでいる店と満席の店なら、満席の店の方が入りやすいだろう。
その「満席」状態を長時間維持するべく、座席数を増減させて客の滞在時間を調整しているとしたら、なんと緻密な計算ではないだろうか。
実際この店では、席に付いて程なくラーメンが運ばれてくる。
待たれているから食後は早々に退散する。
なんと効率的ではないだろうか。

演出にも限度がある。
地価の安い郊外にあって、過度の演出に客を巻き込む根性なら、客の方から「ノー」を突き付けられる土壌になって欲しいのだが、こうドMが多くては難しいのだろうか。
果たしてあの店、味はどうなんだろうか。