民意を反映?

昨日はホリエモン裁判の地裁判決の日で、この日にぶつけて事務所水道光熱費問題の記者会見を行った中井元法相には、同じ民主党からも批判の声も出た。
有罪は有罪であろうとどうせ執行猶予付きの実効性のないもの、との大方の予想を裏切り、しかも拘置された期間をはるかに超える2年6ヶ月の実刑が下ったことには、賛否両論の声が上がっている。
特に直近の日興コーデが、同様(むしろライブドアより巧妙)の手法により粉飾額もケタひとつ違うのに逮捕者すら出ていないこととは好対照だ。

ただ、「たかが証券取引法違反で2年6ヶ月の実刑は妥当か」、「長い歴史と、その歴史の中で多方面にあらゆる意味で貢献してきた企業と、成り上がり企業での対応の違い」、「時価総額なみに企業価値があり、粉飾決算が発覚しても株価の大暴落とまではいかなかった日興と、実態がなくバブルだったので大暴落したライブドア」など論点はなかなか定まらず、それぞれにそれぞれの意見があるので、とりとめのない議論は果てしなく続きそうである。
ただこの判決が「民意を反映した」とは言うが、民事で訴えられている損害賠償請求にも影響するとはい
え、値上がりした保釈金の差額2億円をポンと現金で用意できる彼の現状を目の当たりにすると、果たして刑務所に送り込むことが民意だったのかと言えば、かなりの違和感を感じずにはいられない。
粉飾決算は悪い。
そんな粉飾決算によって損害を被った株主が、損害賠償を求めるのも構わない。(個人的には「自己責任」の範疇だと思うが。)
ただ、サラリーマンの生涯獲得賃金が2億円と言われる世間では、そんな悪事によって得た彼の個人資産がどうなるのかに興味があるワケで、彼がブタ箱で2年暮らすかどうかはあんまり興味がない。

塀の中には、手錠を掛けられたままで腕を組むテクニックもあるし、用をたす時は水を流し続ける作法もある。
VIP扱いでそんな作法を彼が身につけたかどうかは知らないが、スリムになって保釈されたのにすっかり元通りになった彼が、塀の中で再び痩せることよりも、シャバで太れないことのほうが民意ではないだろうか。
いずれ損害賠償で身包み剥がされるからイイ、ではない。
不正に得た利益について手出しされないのであれば、本人にしてみれば2年と少しの辛抱など屁でもな
いだろう。

どうも民意を履き違えているようにしか思えないが、「民意を反映」しているだけに判決後のこの反応を見て、高裁では執行猶予が付けられる可能性も出てきた。
いずれにしても世界一早い裁判を求める、と言ったならば、それが不本意な結果であっても控訴するなと言いたい。
そういうものでないかい?