ローカルルール

dubrock2007-06-18


IKEA(イケア)が凄いらしい。
と、いうコトで、行ってきた。
どうスゴいって、北欧のデザイナーによる機能的な家具と生活雑貨が安く、また大量に展示されているらしい。

湾岸線船橋あたりを走ると見える、紺地に黄色の文字ででっかく「IKEA」と書かれた看板がそれだが、この船橋の方は周辺道路が死ぬほど混むようで、過去に途中で断念したことがある。
なので今回は、第三京浜港北インター近くの、港北店に行って来た。
別にこれと言って買わなくてはならない家具があるワケではないが、ソフトクリームが50円らしいから、ハナシの種にそいつだけ買っても悪くないだろう。

建物上階の広大な駐車場に車を止めて、エスカレーターで店内に入る。
ニトリ」のように目的の商品が置いてある階を目指すのではなく、徒歩での来店者と同じ一階のメインエントランスに導く明確な導線がある。
エントランス正面に二階のショールームへ上がるエスカレーター、置くに広いトイレ、手前は会員カードを作成するカウンターとなっている。

これは全てを見てから気付いたコトなのだが、駐車場からエントランスへ降りる下りエスカレーターの脇に「イケアは商品を安く提供するため、家具を組み立てられていない状態で販売しています。中には、組み立ての難しい家具もありますが、安く提供するためご了承ください。」という趣旨の表示がある。
この段階では「ああそうかい」くらいの認識でしかないのだが、この、「安く提供するために、客も手を貸して協力してくれ」というローカルルールの存在こそが、このお店全体の特徴であるのだ。

それはエントランス入って早々にあるお得な会員カード作成カウンターから適用されていて、会員カードがないと買った商品を入れる紙袋すら20円の実費になるというのに、それら会員の特典は壁に書いてあるだけで、欲しい場合には置いてある申し込み用紙に必要事項を記入して、投函箱に入れなければならない。
入り口にハケンのお姉さんが雇われていて、「ご入会いかがですか?」なんて微笑みかけてくれる、ららぽーとみたいな温さは無いのだ。
それに、奥にあるトイレもドアが何故か手動だ。
このご時世に自動ドアぐらい付けないのかよ、も今思えば、客が手を貸すローカルルールの現れなのだろう。

エスカレーターで二階のショールームへ上がると、ソコは延々と続く文字通りの「ショールーム」。
かなり明確な導線に従うと、相当な距離を歩かされる羽目になる。
それはちょうどDFSみたいなものだが、違いは上級者向けにショートカットルートも設定されているというコト。
ただ、有ると分かっていても気付かない程見事に溶け込んでいるので、雰囲気に圧倒された初心者は間違いなく全ルート制覇だろう。

全ルート制覇の先には広いカフェがあって、オッサンがカレーライスとか美味そうに食ってるんだけど、そのカレーがドコにあるのかは分からない。
で、ベーグルとドリンクバーのセットを買って、数に充分余裕のある席に座れば、雰囲気はかなり上等のカフェにあっさり満足してしまう。
こういう場所に付き物のうるさいジャリが気にならないのは、託児所がある為だからだろうか。
大型ショッピングモールに有りがちな、フードコートの仁義なき席取りもない。
これで平日会員カード提示でコーヒーサービスなら、「穴場」ではないだろうか。

満腹して一階に降りれば、今度は雑貨売り場。
「安い」という気もするが、目を引く逸品はそれなりのプライス。
まあ「めぼしいものを掴んで」といったトコロだろうか。

ついに到着したレジは高速道路の料金所といった雰囲気。
ここで、買い物カゴの替わりに使った「黄色い袋」の意味が分かった。
購入した商品を入れる袋は「青」。
色で未会計商品を分けていたのだ。

と、前に並んだ客は一生懸命買った商品をベルトコンベアに載せている。
それもチェッカーがスキャンしやすいように、バーコードを上に向ける徹底ぶり。
それが、「手を貸せ」というローカルルールの最大のものらしいのだ。
ベルコンに流したら今度は下流に回って、会計済みの商品をパッキングしなくてはならない。
と、やおら携帯電話を取り出し、先回りしてパッキングを手伝わない嫁を罵倒し始めた。
ココが詰まると次の人が会計出来ない。
厳しいローカルルールだ。

その光景をニヤニヤしながら指差していたワタシが、テキパキと自分が買った商品をベルコンに並べ始めると、「お前もやるんかい」と嫁に突っ込まれた。
それが暗黙のルール、ローカルルールなのだ。

分かりにくいローカルルールを、空気を読みながら察知して買い物する行為が、Mっ気の強い日本人にウケたのか、それとも煩わしい店員が付き纏う、セルフに劣るフルサービスの具現化がこれなのだろうか。
ともかく、空気を読めていないオッサンに、露骨にイラつくカフェのお姉さんが印象的な、イケア港北店だった。

ローカルルール大いに結構だが、もう少し分かりやすく、書いておいて欲しい。
それから「カフェ」は、ニトリさんもそのままパクっても、いいのではないだろうか。