平成の大増税

所得税の地方への税源移譲と定率減税の廃止による、見掛け上の負担(給与天引き額)大幅増加。
これに多少先伸ばしされたとはいえ、間近に迫った参院選のネタになると民主党が飛び付き、どちらかと言えば民主寄りのマスコミ各社が追随して、「安倍政権の危機」なんて囃立てて、ホントかどうかは知らないが、市役所の窓口には問い合せが殺到しているらしい。

定率減税の廃止が性急だったかどうかと問われれば、皆口を揃えて「まだ早い」と答えるに決まっているのだから、そんなコトは気にする必要ない。
「まだ早い」と言われながら強行した日銀の利上げに市場が冷静で、二回目の利上げを見送った途端に円が売られる現状を見れば、むしろ(定率減税の廃止を決めた)コイズミの決断は「ネ申」だったのではないかと思うくらいだ。
(安倍政権にトドメを刺すという意味でも、「ネ申」のタイミングかもしれない。)

しかしながら、度重なる不祥事と体たらくから「社保庁不用論」が浮上し、民営化よりも徴収機能は廃止して国税に統合すべきだと言われている時代に、「地方自治体の財源だから徴収も地方で」という原理原則の踏襲は、批判されるべきだろう。
サラリーマン世帯では住民税の特別徴収(給与天引き)も一般化しているから、引かれる金額ばかりが気になるだろうが、事業主(会社)が住民税の徴収を代行することは、所得税以上にはっきり言って「めんどくさい」。
何せ従業員が住んでいる自治体ごとに徴収したカネ(税金)を分けて、それぞれに納付しなくちゃならないのだ。
税務署に所得税入れるだけでもめんどくさいというのに、だ。

これは社会人になってからこの方、マトモな会社にだけ継続して努めていた人には馴染みの無いハナシだろうが、給料から天引きされる「控除」という項目には、「所得税」「住民税」、それに健康保険の「社会保険料」と「雇用保険」などが入っていて、それにワケも分からず入らせられた「団体加入生命保険」と「積立金」なんてのまでが全部ひっくるめられて、「なんだかんだ引かれて手取りがナンボ」という仕組みになっているからなのだが、そんなのは学校で習わなかったし、オヤジにも教えられなかった。
だから、会社を辞めて、言われるままに市役所で手続きをすると寄越される、やけに高額の「国民健康保険料」の納付用紙に驚き、翌年送付されるさらに高額の「個人住民税」払い込み用紙に、思わず「自殺しようかな?」と考えてしまうのだ。
それくらい、生きていく為にかかる保険と税金は高額であり、また去年の収入を基に算出される個人住民税は、納付が難しい。
だいたい、去年の所得など去年のうちに使ってしまったさ、で、「今さら言われても無いものは無い」というハナシなのだ。

サラリーマンの「給与天引き」という制度は、税負担者の納税意識を殆どゼロにしたという意味で、その功績を称えられるだろう。
そして「法人会」はその活動により企業の積極的な納付を定着させ、社会保険庁地方自治体に「カネは黙って集まる」という恩恵を与えた。
だから、今回のコトで地方住民税について疑問を持ち、また不満があるならば、勤め先の会社に「個人住民税の普通徴収」を申し出てみて欲しい。
そして納付には銀行引き落としを選ばず、「窓口での納付」を行う。

そうすれば、窓口のオッサンに払う度にイヤミの一つも言いたくなるし、すぐに徴収制度も破綻する。
それくらいの負担を、これまで民間企業に無償で強いてきたのだ。
そして直に「未納」が問題になり、ついには国税への統合が真面目に議論されるコトとなる。
全てのムダは税金で運用されているのであって、社保庁だけではないのだから。

とりあえず、一年ズレの税額算定。
そこから、それだけはなんとかしろと思う。