吹き割の滝

せっかく日光に行ったのに東照宮にも寄らず、わざわざいろは坂を登ったのに中禅寺湖の鳥居に目を奪われて華厳の滝をスルー。
竜頭滝に戦場ヶ原もなんだかフィーリングが合わずに金精峠も越えちまった。
菅沼も丸沼もわざわざ足を止めるに及ばず、「天空の足湯・無料」の看板に釣られて丸沼高原スキー場に入るが、その足湯はロープウエイで登った山頂にあり、ロープウエイはお一人様往復1800円也と聞いて、黙って引き返す。
と、ここまで来たのに観光はなしかよ!と相方に突っ込まれそうなので、冷や汗をかきながら大雑把な地図で確認すると、その先に「吹き割の滝」というのがあるらしい。
「吹き割の滝」に行ってみよう!と半ば自分に言い聞かせるように、国道120号線を下った。

吹き割の滝はその独特の景色で有名な滝らしいが、正直知らなかった。
知らなかったが、吹割渓谷を降りてみてその景観に圧倒された。
こんな滝は見たことがない。
この滝について検索すると、「電撃! 激坂調査隊が行く」というサイトの
番外編1 武尊ヒルクライムの巻き
http://www5f.biglobe.ne.jp/~sy-baba/banngai1-2.html
の記述が一番ウンチクに富んでいて、その景色をよく言い現していた。
曰く、

東俣沢は、武尊牧場の南側を流れてくる西俣沢と合流し、塗川となる。
塗川は武尊高原を東へと下り、片品川に注ぐ。片品川は薗原(そのはら)ダムを経て、沼田の市街地の南で利根川に合流している。片品川の途中には有名な吹割の滝(ふきわりのたき、ふきわれとも言う)がある。

レース終了後、この吹割の滝に立ち寄ってみた(自転車ではなく、車で行った)。紅葉の時期ということもあり、観光客でごったがえしていた。
滝といえば普通、川や沢が崖の部分で垂直に流れ落ちる姿が思い浮かぶ。だが、吹割の滝は独特である。凝灰岩の河床が侵食されてできた岩の裂け目に、勢いよく水が滑り落ちている。川底の穴に水が吸い込まれるかのようだ。

「吹割」の名は、滝が岩を吹き割るように見えることからそう呼ばれるようになったという。水しぶきが滝つぼから吹き上げるから、という説もあるようだ。

その景色の素晴らしさは他にもアチコチのサイトにアップされているので、そちらをご参照頂くとして(あんまり期待していなかったので、携帯はじめカメラというカメラを何も持たずに降りてしまった)、何故ここまで様々な有名な観光地をスルーしてしまったのかについて書きたいと思う。
つまりそれは、「土産物屋の売りっ気が強すぎる」というコト。
また、「観光地施設の利用料がイチイチ高い」というコト。
確かに、休みを利用しての観光旅行ともなれば、財布の紐も自然と緩む。
「こういう時だから」「せっかくだから」と大半の人がその利用料の高さに戸惑いながらも、しぶしぶ中へと入る。
でも、中へ入ると、思ったよりもたいしたことない。
「せっかくお金を払ったのだから」と一生懸命見るのだが、何処が見所なんだかさっぱり分からない。
「眠り猫」は眠っているように見えて実はすぐに飛びかかれる態勢の猫で、それは徳川幕府が眠っているように見せかけていつでも即応体制にあるという暗示なのだと、言われれば「へえ」というくらいのことはあるが、「眠り猫(頭上)↑」とされてはそんな風情など吹き飛んでしまう。
2泊3日自転車ツーリング -日光・赤城山編- 2001年10月7日 2日目
http://ashimimi.zero-city.com/bnikotu/20011007.html
でも触れられている通り、華厳の滝の「エレベータ大人530円はぼったくり」だ。

件の「吹き割の滝」にしたって、車の停めどころが見極められない。
滝の入口が分からない。
公共の駐車場が見当たらず、土産物屋の駐車場には「無料駐車場」と書かれてはいるが、入口にはしきりと手招きする人がいる。
「手招きする無料駐車場」は、経験からすれば間違いなく「お買い物したら無料」の類だ。
でなければ手招きなんかする訳がない。
こちらにだって、車を停めさせてもらえば何かしら店内を眺めるくらいの気持ちはある。
ただ、触手が伸びるほどの商品をこれまでこのテの観光地の土産物屋で見たコトがない。
他でも見覚えのある、シールだけご当地仕様になった置物、やけに単価の高い漬物、ご当地に関係のない山海の珍味。
そんなものから「何か買え」はないだろう。
確かに、駐車場所を無償で提供する善意に悪乗りして、何も買わない、トイレだけ汚すアナーキー野郎は増え続けているし、世の中は相変わらずの世知辛さ。
土産物屋が意地汚くなるのも分からないではないが、こうも「お買い上げなき場合は駐車料を請求」の無料駐車場ばかりでは、そりゃ観光客も減るというものではないか。
まあそれでも、「駐車場とトイレをご用意しておりますので、お帰りの際にはジュース1本でも結構ですからお気持ちを頂戴したく・・・」といった看板に書き換えられているお店が散見されたのが救いどころだろうか。
もちろん、そういうお店に停めて、ちゃんとお買い物もしましたよ。
そういうお店を見極めるまでに、実に2往復もしてしまったというのはよくないでしょう。
普通なら「もういいや」と帰ってしまうものです。

滝がそれはそれは見事だっただけに、「もう少し」と思う部分の多かった「吹き割の滝」。
全国の観光地関係者の皆様、今一度お考え頂きたい。
「オマエキタ、カネハラエ」では、たとえ景気が上向いても、結果は見えているというものだ。
せっかく整備された遊歩道も、散々歩かされた挙句にたった3つしかない絶景ビューポイントは木々で遮られ、では台無しだ。