支持率とは

dubrock2007-09-27


福田内閣が新聞各社60%に迫る高支持率と報道されている。
先の安倍内閣が「支持率30%を割り込み危険水域」と騒がれ、「内閣改造でようやく3割台を確保」と言われていたことを思えば、トップが交代しただけで閣僚のほとんどが留任の福田内閣で「6割に迫る高支持率」とは、この「内閣支持率」というものぐらい、新聞社の作為的な意向を汲んだものも珍しいだろう。
というのも、「無作為抽出による電話調査」で「有効回答率60%」というトコロにミソがあると思う。
まあ言葉通りに受け止めれば、全国各地から各年代層にわたり無作為に抽出した個人宅に電話をかけ、「新しい福田内閣についてどう思うか」を問うたというコトになるが、そんなコト新聞社がイチイチするワケがなく、もちろん調査会社への丸投げだろう。
定期的に行っているトコロを見れば、この調査委託は随意で継続的に発注されるもので、受けている調査会社もほぼ固定。
調査会社も調査会社でクライアントが喜ぶような調査結果を出す、というのは当たり前のハナシで、あの安倍たたき全盛期に「支持率60%」なんて結果は出せないだろうし、出したトコロで採用されないばかりか、二度と依頼が来ないことは目に見えている。
そういう阿吽の呼吸で成り立っているのがこの「新聞社による独自世論調査」であって、実際に調査なんかしていない、とは言わないが、クライアントの意向に沿うような母集団に対してアンケート調査を行う、そんな芸当の現れが「各社足並みを揃えての高支持率」というコトではないだろうか。

まあこんなのはドコにでもあるハナシであって、不動産鑑定士に土地の価値について調査を依頼するときだって、結論的にどのような鑑定結果が希望か聞かれるのはよくあるハナシ。
資格だなんだと言ったトコロで、国から任意に配分される路線価調査以外はそれぞれの営業力量によるところが大きく、つまりはクライアントの意向に沿う調査結果が出せるかどうかが、不動産鑑定事務所が大きくなれるかどうかの境目となるのであるから、そんな相手方の鑑定結果を鵜呑みにしないというのが、不動産取引のセオリーだったりもする。
つまりは土地の値段だって、自らで値踏み出来なければ買えないのである。

ともかく、新内閣発足時には下馬評に従ってある程度の高得点を与え、ソコからミスのあるごとに減点法で評価を減じてゆく。
それが「新聞社による独自調査での内閣支持率」ではないだろうか。

ともかく、安倍シンゾーは最低だった。
思想的にはかなり右よりの強硬派で、9条にまつわる改憲にも意欲的。
ならばワタシとも意見が合いそうなものだが、何故ここまで嫌悪感が先行したのだろうか。

まず歳が若すぎた

これはあるだろう。
「初の戦後生まれ宰相」と持て囃されたが、コテコテの政治家一族に生まれたボンボン育ちの言う「圧力外交」というものに、現実味が感じられない。
それはアジア諸国にカネをバラ撒くコトで認められた、アジアにおける日本の現在の地位を些か誤解しているかのような、「太陽の帝国」という妄想。
カネを出しているからこその「国賓扱い」を、あたかも当然のことのように勘違いしていなければ、ノコノコと婦人とお手々繋いで外遊などできないハズだと思うのだ。
いや「婦人とお手々繋いで」飛行機から降りるのが悪いと言ってるワケではない。
ただ、滅多にしないコトをわざわざするからわざとらしさが残る、そのわざとらしさが嫌悪感に繋がるというのだ。

キャッチフレーズが悪すぎた。

そも、「美しい国」というフレーズは誰が考えたのだろう。
政治家一族のコネですら早稲田に入れなかったこのボンの言う、「美しい」というフレーズには、どうも「弱者排除」というイメージが付き纏う。
これはマスコミの情報戦略もあるのだろうが、それにしても彼の描く「美しい国」には「選ばれし者の国」というイメージが強すぎるのだ。
もう一つ目玉だった「戦後レジームからの脱却」だが、政治家一族の末裔という既得権階級の典型のような彼そのものが「戦後レジーム」であり、自らを自らたらしめているそんな「戦後レジーム」から本気で脱却する気など、彼には到底あるとは思えないのである。
これら嫌悪感を抱くキャッチフレーズにより、「支持できない」と考える人は少なくないハズだ。
ココは糸井重里にでもお願いすべきトコロだった。
そう思う。

日本語に堪能でなかった

これは果たして「語彙力」の問題なのか、それとも「意見を表明する表現力」なのか定かではないが、度々話題になった「不自然なカメラ目線」の割には、その真意がサッパリ伝わってこなかった。
これは簡潔なコトバでストレートに伝わってきた小泉氏と比較されるので、尚更鮮明になってしまうというのもあるかもしれない。
しかしながら、再三野党から「強行採決」と意識付けられた法案の単独採決にしたって、もう少しその経緯さえ説明できたなら、アソコまで「強行」というイメージにはならなかっただろう。

人を殺しすぎた

詳細については自粛するが、彼とカネがらみで話題になった人は、ことごとく変死(以下略)

ともかく、総裁が変わっただけで支持率もこんなに変わるものかと思いつつ、「昔の自民党に戻って欲しい」と公言して憚らない農村部の自民党支持者がいて、そういう意見が台頭してしまう福田という男に、次回解散総選挙での小泉チルドレン大量落選を思い描く、そんな一日だった。