今度はTASPO

dubrock2007-09-28


出始めの頃はデザイン的な「飾り」にすぎなかったICカードも最近ではあれこれ活用されるようになり、非接触読み取り式ICカードによる電子マネー決済も、次第に普及しつつある。
SuicaにPASMOにNANACOにWAONと、似たような機能に各社独自のサービスを盛り込み、提携だ相互乗り入れだと売り込みに躍起だが、どれも事前にチャージが必要な「プリペイド」であるコトに変わりはない。
「与信」という最大のネックがあるだけに、料金徴収を考えればこの方式に行き着くのだろうが、利用前に料金を前払いすることによる事業者の金融メリットは計り知れず、多少なりともプレミアムとしてキャッシュバックするのが本筋ではないかと思う。
キャッシュレス決済の利便性は「お互い様」なのだから、利用者だけが金利負担するというのはオカシイではないか。

だからこそ与信と事後精算方式を導入したDoCoMoのIDは画期的ではあるが、料金滞納の折には携帯諸共利用停止になるとは頂けない。
もともとゼロだったものが、いまや「月2万」が標準になってしまった携帯電話通信料ではあるが、それでもこれに更に一万、二万と上乗せされれば、家計をかなり圧迫することは間違いないだろう。
支払いを先延ばしにするクレジット払いを導入すれば、手元の現金有り高はその分プラスになるハズなのだが、何故かキレイサッパリ使ってしまうというのも驚きだ。

必要以上に消費を煽られ、あくせく働いたカネを資本家に吸い上げられるのが、現代社会の仕組みなのだ。
そしてまた、来年から県単位で順次導入されるのが、たばこ自動販売機での成人識別用ICカード「TASPO」だ。
成人者にのみ無料で発行される写真入りのこのカードを翳さないと、タバコの自販機が作動しないようにすることで、未成年のタバコ購入を阻止しようというコトらしい。
愛煙家にはなんとも面倒なハナシだが、代わりに夜間の自販機販売も再開されるというから、それなら悪くはないハナシではないだろうか。

これでジャリどものタバコ購入が阻止出来るかと言えば、カードを与えてしまうDQN親が必ず居るハズで、その効果は限定的ではないだろうか。
じきにイラン人が巷間で「変造モノ」を販売するであろうコトも目に見えている。
店頭でのカートン売りまとめ買いも、きっと増えるに違いない。

そんな、ガキの喫煙とかは正直どうでもよくて、問題はこの「TASPO」にもチャージ機能が付いている、というコト。
タバコが買えるだけのカードにチャージなんかするかよ、なんだけど、タバコ買いたい時に限って小銭がない、というパラドクスも存在していて、多少なりともチャージしてあれば便利なコトこの上ないハズ。
そうやってココでもまた、「小銭を前払いさせられる庶民」という構図が出来上がっていて、プリペイドによる金銭感覚の希薄化は行く行くのタバコ税値上げにも有利に働くことだろう。

結局庶民は巻き上げられっぱなしなのだが、一番問題なのはチャージ機能の付いた非接触読み取り式ICカードを、あれやこれやと作るな、というコト。
最近問題になっている、バスなどでの料金2重引き落としは完全なプログラムミスだが、そもそもが似たような機能のカードを各社が乱発したことにも問題がある。
それに、愛煙家であれば否応なしに持たなければならない優越的地位を濫用した「TASPO」。
オマエまでもがそのシェア争いに参加してどうする?
というハナシ。

このTASPOに付くチャージ機能の料金決済はJCBが担当するらしく、他のカードにもそれぞれ懇意のクレジットカード会社が付いているのであろうが、いずれの場合でも小売店は利用手数料を徴収されるであろう立場にいることは間違いない。
一番儲かるキャッシング部門でのグレーゾーン金利廃止によって、カード会社も生き残りに躍起なのだろうが、一番大切な「利用者の利便性」ってもんが、忘れられてはいませんか。

運転免許証にもICチップが搭載される時代に、一体これから何枚のICカードを持たされるのだろう。
そんなコトを考えながら、事前精算すると出口ゲートが自動で開く、ららぽーと豊洲の立体駐車場の仕組みについて思いを巡らせる。
一体あれは、どういうコトなんだろうか。