この話…

dubrock2007-10-05


ベッド数350床、月の外来患者1万5千人の総合病院「東十条病院」が、先月末に全科休診を表明し、今月末には全ての業務を終了するそうだ。
常勤医が確保出来ないことを、理由の一つに挙げている。

知り合いのご老人は、月に一度の整形外科受診の際は、奥方が朝6時半に病院に出向き、番号札を取ってくるという。
これでも、実際の受診は午前中ギリギリ。
10時過ぎからの受け付けでは、午後の受診も危ういという。

乳がんの手術などをする大学病院には、受診待ちの患者は居ないという。
何故なら、医師からの紹介で事前に予約した人だけが、受診できるからだそうだ。

高給取りなんだからもっと仕事しろ
事情を知らなければそんなコトを言いたくなるのだが、実態はほとんどのセンセーが、複数の病院を掛け持ちし、ほとんど休みなく働いているらしい。

何故こんなに世の中から、「医者」というものが少なくなってしまったのだろう。
文部科学省はその答えを「学生の理系離れ」と考えているようだ。
小学校段階からの「実験」の機会の減少などにより、理系を志す学生が少なくなった、と。
たとえ医学部に入学できる学力があったとしても、人の命を預かるような仕事には就きたくないという意見もある。

むかし「医者」と言えば高給取りの代名詞みたいなモノだったが、今は外資系の金融に勤めた方が、才能さえあれば手っ取り早く大きく稼ぐコトが出来る。
「才能」さえあれば。
しかしながら、有名医学部の学生が定員割れしているというハナシも聞かないし、近年医師国家試験の合格者が極端に減ったというハナシも聞こえて来ない。

ブラックジャックによろしく」は日本の医療と「医局」という存在の問題を描いたマンガだが、この諸悪の根源的な医局の存在を解体すべく厚生労働省が打ち出した施策が、「研修医制度」というものらしい。
これにより、従来の医局の制約に囚われず比較的自由に研修先の病院を選べるようになったが、結果として大都市の有名大病院に研修医が集中する結果となった。
地方、若しくは郊外の病院に「赴任させられる」コトがなくなったということは、必然的にそれらの病院で医師不足が発生する。

医師が不足した病院では勤務がハードになるので、情報伝達の発達した現代では研修医も当然寄付かなくなる。
そんな負の連鎖は東北の片田舎でのハナシと思っていたのだが、東十条病院のハナシを聞けば東京都内、それも23区内にあっても、人事ではないのかも知れない。
病院に掛かるのにも格差社会か、なんて思いつつ、以前の医局による縦社会もどうかと思う。
何事も程よいバランスが求められるのだろうが、それも年数を経て仕組みがキッチリしてしまうと、その仕組みを守ろうとする人達の台頭で難しくなるのかも知れない。
まるで自民党のハナシみたいだ。

北区は23区ぢゃねえよ
なんて声が聞こえて来そうな、救急指定病院の突然の閉鎖のニュースだった。