ふたつに折らないのが新しい

むかし携帯電話と言えば、スティックタイプのものが主流だった。
もっともスティックタイプとは名ばかりの大きさで、ポケットに入れるコトはおろかセカンドバッグに入れることさえ躊躇う大きさ、ようやく肩に掛ける必要がなくなった頃のハナシだ。
それがあっという間に小型化され、セカンドバックに入れても邪魔にならない名実ともに"スティックタイプ"の大きさになった時に、「バッグの中でボタンが押される」という問題が生じた。
キー操作をロックする機能が付いたものもあったが、「キーが押された」というコトを表わすためにバックライトが点灯する場合が多く、知らない間にリダイヤルしてしまう不具合は解消されたが、「気がつけば電池切れ」という不具合に悩まされる場合が多かった。
また本来の通話機能よりも、むしろ付加機能であったメールやインターネット閲覧が重視されるようになり、その利便性の為に大きさを求められる液晶画面が、携帯電話の小型化を阻害するようになった。
「二つ折りケータイ」という発想は、それらの問題を一気に解決する逆転の発想であり、意味もなく二つ折りケータイを開け閉めする仕草が「新しい」と注目されるようにもなった。

愛用していたビジネスバッグの携帯用ポケットを温存する為だけに、二つ折り主流の世の中になってもスティックタイプに拘っていたワタシではあるが、世の中の流れには逆らえずに愛用のケータイは二つ折りになって三代目になる。
これなら、ポケットに入れても液晶画面のキズが気にならないし、ボタンが押されることもない。

「チョコレートケータイ」というのがテレビで宣伝されていた。
どんなものかと思えばDoCoMoのL704iというのがソレらしく、愛称のchocolate(チョコレート)はチョコレートのイメージする「愛」「誘惑」「贈り物」といった感性的な表現を意味しているらしい。
ちなみに型番の頭文字「L」からは容易にメーカー名を推測できないが、これはLG電子の「L」らしい。
出掛けたついでにDoCoMoショップで現物を確認すると、これがなんと「二つに折らない」タイプ。
スティックタイプとも違うのだが、2層構造の液晶画面を上にスライドさせると、下からテンキーが現れるというもの。
そういえば後輩もこういうの持っていたけど、今どきは「二つに折らない」のが新しいのだろうか。

一見ミュージックプレーヤーのような、黒を基調とした「チョコレートケータイ」を眺めながら、今度は「二つに折らないケータイ」へ適応しなければならない時代の流れを感じ、ジーパンのケツのポケットとかに入れても液晶は大丈夫なのだろうかと、そんなコトばかり気にしていた。
時代に付いていくのも大変なのである。