料金所グルンバイ

dubrock2007-11-01


富津館山道路の開通により、南房総館山までの所要時間は格段に短縮となった。
田中角栄の提唱した列島改造計画による全国での高速道路網整備は、その採算性、また維持管理を一手に引き受ける日本道路公団の豊満経営、建設資金を捻出する為に濫発した建設国債の返済など、様々な問題を引き起こしたが、「悪いこと尽くし」という訳では決してなかったと言うことができるだろう。
ただ、
通行料が高い
というのは利用した率直な実感。
概ね100キロ、約1時間走行して3000円という通行料は、ただでさえバカ高くなったガソリンを消費している身にはちょっとツライ。
ETC通行車に対して適用される深夜0時〜4時の利用で3割引の2000円になる深夜割引も魅力だが、一気に半額の1500円となる「早朝夜間割引」や「通勤割引」は、是非とも利用したいトコロだ。
ただココでネックとなるのが、『総利用距離が100kmを超えた場合、100km部分も含め割引は適用されません。』という「早朝夜間割引」や「通勤割引」の適用条件。
首都高速湾岸線から湾岸市川を経由して富浦ICへと走行した場合、その走行距離は101.6kmとなって「早朝夜間割引」や「通勤割引」は適用されず、通常\2,950の通行料金に対して深夜割引の\2,350しか適用されない。
これが1つ手前の鋸南富山で降りた場合、その走行距離は93.4kmとなって通常\2,650のところ、深夜割引\2,050の他に通行した時間帯によっては通勤割引\1,900若しくは早朝夜間割引\1,650が適用になる。
最後の1区間たった8.2kmを我慢するだけでこれだけ違うのだから、これらの割引が適用される時間帯に移動時間を合わせるくらいのことは、厭わしくは思わないだろう。
ちなみに富浦IC付近にある「湾岸市川から101.6km、割引注意」という表示はその事を指しているのだろうが、その意味を理解できるヒトは果たしてどれくらいいるのだろうか。
(表示するくらいなら割引を適用する配慮の方が有り難いのだが。)

総延長が100キロソコソコの富津館山道路ならその程度の話なのだが、例えば総延長218.5kmの常磐道などでも、「早朝夜間割引」や「通勤割引」を受けることで、全線に渡って深夜割引を適用された場合の最安料金\3,600に近い通行料金を享受できることとなる。
ココで必要になるのが通行距離を100キロ以内に収める為に料金所を一旦出てからUターンする「料金所グルンバイ」という手法。
これにより、例えば早朝に福島方向へ走行する場合、午前4時以前に三郷のゲートをくぐれなかったとしても、谷和原ICに6時前に到着することができれば、

常磐/三郷〜谷和原  早朝夜間:\400
常磐/谷和原〜日立中央 早朝夜間:\1,400
常磐/日立中央〜広野  通勤:\1,200
常磐/広野〜常磐富岡  通常:\600
で〆て\3,600の通行料金に収めることができるのである。
ちなみに最後の1区間広野〜常磐富岡が半額になればこのパターンが最安になるのだが、「通勤割引は1つの時間帯に1回の適用のみ」という制約の為。
これを複数回適用させる為、「広野ICでグルンバイする際に、使用するETCカードを別なものに交換する」という裏技も公開されているが、この場合はたった1区間、割引額にして300円ぽっちなので、「ソコまでしなくても」という結論である。

大都市近郊区間(東京地区)谷和原でグルンバイしているのは、早朝夜間割引が左の「大都市近郊区間」を1区間以上含む100キロ以内の走行に適用されるからで、回数に制限がないことから三郷から117.5キロ離れた日立中央ICまでを早朝夜間割引の対象にする為の処置だ。
(ちなみにほとんどの区間が半額なのに全線3割引の料金と大差ないのは、タクシーの「初乗り料金」のようなものがグルンバイする度に課金されているから。なかなか上手くはいかないものである。)

こういう小細工が効かないのが「中央道を利用して富士山を目指す場合」だろうか。
中央道は八王子に本線料金所があって、八王子から先に向かう場合早朝夜間割引適用条件の「八王子までの大都市近郊区間を1区間以上走行」することが不可能となっている。
なのでこの場合には通勤割引の適用を受けるべく、八王子もしくは河口湖ICを6時〜9時の間に抜けることが必要になるのだが、これが適用された時の「950円」という格安料金は「富士山」という霊峰を身近なものにしていると思う。

わざわざそんなコトしなくても、ハナから100キロ走行で1000円程度の通行料金としてくれるのが理想的なコトなのだが、なかなかそうはならないのが今の世の中。
なので、アレコレ小細工しながら秋の行楽を楽しむというのも、それもまた楽し、ではないだろうか。