踏み込め

dubrock2007-11-06


『地球と財布にやさしいエコドライブを』と銘打った政府広報がある。

11月は「エコドライブ推進月間」です。
ふんわりアクセル『eスタート』(やさしい発進)や加減速の少ない運転などのアクセルワークで、約15%の燃費改善効果があります。
車に乗る際は、エコドライブを心がけましょう。
と続く。
この広告を見て、信号待ちの前走車が、信号が青に変わっても走らない、という1シーンを思い起こした。

「走らない」と言っても、脇見をして青信号に気付かない、というのではない。
青信号は認知している。
ブレーキからは足を離して、車は確かに動き出しているのだが、さっぱり加速しないのである。
前にさらに前走車がいるワケでも、前方が渋滞しているワケでもない。
しかし、周囲の交通の流れから明らかに遅れた、緩やかな加速。
こちらが意図的にアクセルを緩めても、否応なしに詰まる車間。
それでいて、後続の近い車間を気にするでもなく、そのまま緩緩と走って行く。

何か前走車の気に障るコトをしたという心当たりもない。
走行中も停止中も常識的な車間距離を保っていたし、当の前走車だって何か抗議する風でもない。
ただひたすら、周りよりも明らかに鈍い加速で、後続の車の流れをリードしていく。
「何が悪い」とでも言わんばかりに。

あれは、「エコドライブ」だったんだ。

そう考えると、なるほど合点が行く。
率先して、地球に優しいエコドライブを実践しているのであるから、後続車も自分に合わせて加速すればいい。
そう考えているに違いない。
でなければ、もう少し周囲の空気が気になっても良いハズなのだ。

そういうコトは、車よりも熊のほうが多く走っているような、そんな他人に迷惑の掛からないトコロでやって頂きたい。
何も、スキール音を立てながらスタートダッシュしろ、と言っているワケではない。
ただ、後ろを走っていてつんのめりそうになる、そんな「ふんわりアクセル」は辞めてくれと言っているのだ。

ただでさえオーバーキャパシティーで、常に渋滞気味の市街地の道路。
常に急ぐ用事があるわけでもないが、だからといってチャキチャキ走れば通過出来るタイミングの信号に、いちいち止まる必要もない。
そっちのほうが環境に悪いだろうし、第一精神衛生上良いワケがない。

政府も、こんな下らない運動月間に広告費を捻出するなら、もっと周辺信号との連携を強化した信号制御を徹底して、『幹線道路は法定速度で走れば信号待ちなし』ぐらいのコトをすべきではないだろうか。
プリウス購入費用を助成したっていい。

NOふんわりアクセル

「ヘッドライトは上向きが通常」みたいな、現代の交通事情に即さない『常識』を、これ以上増やして欲しくないものである。