政治家が口下手でどうする

dubrock2007-11-09


先週末来続いた小沢辞任騒動は、本人の続投という一番グズグズな選択肢で収束を目指しているようである。
小沢氏は何故、日曜の夕方というあのタイミングで辞任を表明したのであろうか。
自民党との連立政権構想。
小沢氏には副総理の椅子を。
民主党議員にも国道交通大臣はじめ要職を。
小沢氏でなくとも「民主党に政権はムリ」が明白な状況で、万年野党の現状を打開するのに悪い条件では決してなかったハズだ。
それが「若手」と呼ばれる実務議員の反発を受けて役員会で否決されれば、「わたくし自身への不信任と認識した」という小沢氏のコメントも、突飛な発想の飛躍でなんかない。

そもそも、頼まれて就いた党首のポストではなかったのか。

ニセメール騒動で失墜した権威から「民主党ってどうよ」と嘲笑される状況下において、理想論を掲げる「若手」は他人事を決め込み、このままでは参院選の大敗が確実とされた当時、「選挙戦略のプロ」であるオザワセンセイを置いて、党首を務められるのは他にないとまで言われた。
小沢氏はその期待に応えるべく、日本医師会はじめ組織票を見込める団体を片っ端から回り、それぞれに玉虫色の口約をしたに違いない。
「格差」「格差」と大騒ぎし、地方都市はおろか農村にまでカネをばら撒く選挙公約を掲げ、自分らだってその一翼を担ったであろう年金問題を執拗に責め立てた。
結果参議院過半数を占めるという未曾有の大勝利をもたらし、前職の総理大臣を辞任にまで追い込んだ。

何でも言うコトを聞いても、おかしくはない状況である。
なのに・・・
今の「代表」の椅子は自ら希望して就いたものなのか、はたまた頼まれてお願いされて就いたものなのか、ソコんトコロをハッキリさせておく必要がある。

これは対人関係でもよくあるハナシで、最初は頼まれてしていたコトなのに、いつの間にかコチラがお願いしているかのような、そんな空気になるコトは珍しくない。
クリスマスケーキの注文取りまとめだったり、生協の共同購入であったり。
大抵のヒトはそういう空気に違和感を感じ、愚痴りながらも、そういう状況を受け入れてしまう傾向にある。
しかし小沢氏は政治家だ。
口下手だろうが東北出だろうが、人心を手玉に取る政治家を生業として生きてきた人なのである。
政治家であれば、ここらで一度、「どちらがお願いしているのか」についてハッキリさせておく、そういうタイミングについては弁えており、またその方法論についても様々なものを熟知しているハズなのだ。
だからこそ、民主党代表に推された。
そういうコトなのだろう。

今回のコトはそういった意味で、外というよりは民主党内部に向けられたメッセージと言うコトができるだろう。
背景には、「何だったら配下の参議院議員を連れて、自民党に寝返るぞ」という脅しでもある。
案の定民主党執行部は白旗を揚げ、小沢氏に完全降伏となった。
そして朝から、執行部の面々がメディアに露出しての火消し役。
「若手」実務部隊ではなく、重鎮自ら苦しい政策説明に終始するなど、異例中の異例だ。

最高顧問 羽田 孜
代表代行 菅 直人
副代表 岡田克也 前原誠司
幹事長 鳩山由紀夫
どれも「過去の人」としてあまりいいイメージはない。
長妻さんがいくら頑張ったトコロで、それが民主党の限界と言わざるを得ない。
小沢氏でなくとも、「民主党にゃ政権はムリ」は動かしがたい事実なのである。

遅かれ早かれ小沢氏は民主党から分離だろうが、「政治家が口下手でどうする?」と小沢氏一世一代のジョークが黙殺された、その寒々しさに笑ってしまう。
「心臓に持病があるので、本会議には出られません」という国会議員も、結構なユーモアだと思うのだが・・・。