大和蔵酒造株式会社の「雪の松島」

dubrock2007-11-26


この清酒に初めて出会ったのは、もう15年も前のこと。
受験で訪れた仙台土産にと、仙台駅構内で5合瓶2本を買い求めたのが最初で、その選定動機はなんと言ってもその「名前」であって、宮城県は仙台のイメージといえば「松島」、そして「雪」。
そんなベタな連想そのもののパッケージがお土産にピッタリだと思ったからだ。

2本のうち1本は自宅用として、もう一本はまあ飲んでしまってもよかろうと、東京へ向かう東北新幹線の車中で封を切った。
当時「酒」といえば「ワンカップ」の時代。
日本酒とは合成醸造アルコールの臭いが強い「のん兵衛の定番アイテム」であって、ソイツを「冷や」で飲むコトなど「オッサン以外にはムリ」な時代だった。
そんな「日本酒」を敢えて新幹線の車内で空けたのは、おそらくそういった無頼漢を演じたかっただけで、すなわち「オトナ」の仲間入りをしたかったという、まあ「若気の至り」というものからであって、これといって車内で酒、それも「日本酒」を飲みたいワケではなかったと思う。
ともかく、「酒」なんて飲み慣れない若造が口にしたその味は、おおよそ「日本酒」の常識を覆すものだった。
今では珍しくもなくなったが、「水のようにサラリと流れる」類いの酒のハシリ。
その「サラリと流れる」感覚がなんとも心地よくて、自分の酒量も弁えずに宇都宮あたりで五合瓶を空けてしまい、上野駅には泥酔状態で到着。
その後の記憶が曖昧になるという醜態を晒してしまった。
「これはスゴイ」と喜び勇んで自宅に持ち帰り早速オヤジに飲ませたのだが、アル中気味の大虎には「サラリ」はあんまりウケが良くなかったワケだが、今だに自分の中では「銘酒」の一本である。
(後に秋田の酒豪から聞かされたのは、「冷や」と「冷酒」は違う、というコト。どちらかというとこの「サラリ」系の酒というのは冷蔵庫で冷やして飲む「冷酒」の系統であって、一升瓶からダイレクトにコップに注ぐ「冷や」を具現化したものが、「ワンカップ」なのだと言う。カテゴリが違うのだ。)

そんな思い出の銘酒、それも醸造アルコールを含まない「特別純米酒」を久しぶりに見掛けて、思わず買い求めてしまった。
当時気にも留めなかったが、五合瓶で千円を超える価格というのはなかなかの高級酒で、ただ晩酌で飲んでしまうのはちょっと勿体無い。
そんなワケで、とりあえずお正月までリビングに飾っておこうというコトになったのだが、1ヶ月以上の「オアズケ」はちょっとツライ。
せめてクリスマス、と思っているのだが、何時まで持つだろうか。
初めて口にした15年前を思い出しながら、封を切る時を心待ちにしている自分がいる。