その感覚が藤田東吾

dubrock2007-11-29


未曾有の政治スキャンダルになるかと思われた、構造計算書の改ざんによるマンションなどの耐震強度偽装事件は、結局アネハ一人が悪いというコトになり、暴かれたのは彼のヅラだけとなりそうである。
せっかく買った新築マンションから退去させられ、賃貸住宅の家賃と住宅ローンの二重苦に悩ませられる当事者からすれば「済んだコト」では済まされない重大事かもしれないが、彼らの住宅ローンの焦げ付きが表面化していないトコロを見ると、苦しい苦しいとは言いながら、意外に余裕のあるヒトばかりだったのではないだろうか。
まあ「格差カクサ」と騒げばカネになる時代に、そのほとんどが首都圏に立地し、それも「占有面積で100平米を超える割には安い」 なんてヒューザー物件を買おうというヒトたちなのだから、それもなんとなく納得出来る。

この事件の反省から厳しくなった改正建築基準法の建築確認審査によって、新設住宅の着工戸数が急減し「景気への影響も懸念される」らしい。
そもバブル後に下落した地価に外資系の投機マネーが流入して、「建築バブル」が囁かれて久しい。
最近ではよほどの好立地、人気物件でなければ完売もままならない末期症状を呈しているが、「建て過ぎ」感は否めず「耐震強度への不信」だけが理由とは思えない。
ソコにアメリカのサブプライム問題と、5%近くあった金利差。
大量の投機マネーが引き揚げられスッカラカンになった日本経済が、従前のまま維持出来るとは到底思えないのだ。

しかしながら建築業界は、新設住宅の着工戸数が前年比で半減していると騒ぎ立て、一蓮托生のセメントと鉄鋼が乗っかった声明を発している。
あれだけ株価低迷で金融機関の破綻が相次ぎ、公共工事の縮小で土木ゼネコンが破綻した時代に、「建築だけバブル」で済まされるワケがない。
つまり「今度はオマエらが破綻する番」なのだが、着工戸数の落ち込みの理由を厳格化された確認申請に求めたい論調。
この先にあったのが、「イーホームズのザル確認」ではなかったか。

結局、「本来行政がするべき確認申請を代行しただけ」であり、「その業務は書類の様式をチェックするのみ」なので、内容の不備について担保しないし、また責任を問われるのは行政の方、という言い分がまかり通ってしまいそうだが、あの会社を設立する時に資金を提供した会計士のバックに黒幕がいる、というのは香川の失踪事件同様に「みんなが思っているコト」ではないだろうか。
つまりは確認申請の遅れを問題視する投機筋(早く結果を求め、また資金の回収も素早く行いたい)があって、陳情を受けたしかるべき立場の人間が、民間の確認検査を可能にするとの方針を示し、自らそのリーディングカンパニーを造り上げた。
そういうコトなので、問題が露見すると同時にトカゲのシッポは切られたかに見えたが、この件について鬼の東京地検特捜部がトーンダウンしたというのも、如実に真実を物語っていて、当時の立場は追われようとも、地位までは失わない。
その後の身分について「悪いようにはしない」。
そんな暗黙の合意が為されているのではないだろうか。

ともかく、耐震強度偽装以前の物件は言うまでもなく、最近の意図的とも取れる施工ミスすなわち手抜き工事の発覚を目の当たりにすると、最近のマンション購入は値下がりのリスク以外にも、随分とリスクのある買い物だなあとつくづく思う。
まあ一戸建てにも欠陥住宅は付き物だし、それがイヤなら自分でログハウスでも建てるしかないワケで、それなら安普請のアパートにでも入っているほうが、よっぽど気楽なのかも知れない。

まだしばらくは、賃貸住宅だな。w