倖田発言の波紋と収束

dubrock2008-02-04


エイベックスの看板タレント倖田來未嬢のトンデモ発言が、ついにスポーツ新聞各社の一面を飾ったようだ。
コトの発端はオールナイトニッポンでの不用意な発言にあるのだが、その放送時間帯もあってオールナイトニッポン自体、リアルタイムで視聴していたヒトは然程多くはないだろうし、その視聴者が騒いだだけではたいした注目も集めないだろう。
騒ぎがココまで大きくなったのは、多分いつもの某掲示板。
放送の翌日に立ったスレッドでは発言の詳細についてのほか、マスコミとCM出演企業各社への連絡先と抗議文のテンプレートが掲載されていた。
のみならず、CM起用企業にメールする場合には、「このタレントを起用している限り貴社の製品を購入しない」旨記載すると効果的などという脚注まで付く用意周到ぶりだった。

これにより時間の経過とともに化粧品のサイトが閉鎖になったり、公式ページに謝罪文が掲載されたりしたが、これらは全て「インターネットの中」でのコト。
ネットの外の人がこの騒動に初めて気付いたのは、おそらく新アルバムのPR活動のために生出演する予定だった土曜午後のFMラジオ番組に、鈴木亜美が代役出演していた時だろう。
そしてついにスポーツ新聞一面にその発言が掲載され、発言が周知のものとなってしまった。

いまネット上ではその発言について、医学的に立証されているとかいないとか、いや高齢出産には様々なリスクが付きまとうとか、そういった議論がなされているようだが、問題は発言の真偽ではない。
問題は、その出所が冗談にしろ安易な気持ちからの発言にしろ、そういった発言が口から出てきてしまうというコトだろう。
口から出てくるというコトは、常日頃そういったコトを考えている、のみならず、周囲の人間と普段からそういった会話を交わしていなければならない。
でなければ、あんなシチュエーションで自然に出てくるものではない。

エリカ様の時のように、「話題性で注目を集める為のシナリオ」という見方もあるが、もしこれがライターによる台本通りの発言であるならば、少なくとも「注目を集める」という部分では成功かもしれないが、25を過ぎて10代の女性からの共感を得られなくなった今、今後取り込まなくてはならない30代の女性層を敵に回してしまうというのは明からかな戦略ミスだろう。
っていうか、公共の電波に乗せる前に「誰か」が止めなければならない。
いくら「歯に衣着せぬ物言い」が最近ウケているとは言っても、「何言ってもいい」というワケではないのだから。

トコロで今回の発言、関東以北に在住してきたワタシにとっては転載するのも憚るくらいの暴言なのだが、大阪のオバチャンの間では既に使い古された言い回しなのだろうか。
同じ問題発言でも、民主党の菅氏が自民党の古賀・二階氏を指して言った「利権顔」発言などは、お茶の間でも日常的に言われているであろうコトなので、まあ言われた本人が怒るのは当然としても、傍から見ていてさしたる不快感や嫌悪感は感じたりはしない。
なのでもし、今回の発言が「大阪ではよく使う言い回し」なのであれば、それを知らずに過剰反応しているほうが非常識、というコトにもなるのだが、現在のトコロそういった指摘は見掛けていない。

そもそもがその売上貢献度から役員人事にまで影響力を及ぼすようになった浜崎対策。
対抗馬に「鈴木あみ改め鈴木亜美」を担ぎ出してみるも、「アイドルとしての一番美味しい時期」を事務所問題で棒に振ってしまっては対抗できるハズもなく、やはり新機軸を打ち出すしか道はなかった。
ソコで、極端な整形を施すコトもなく世間で言えば「あまり器量のよくない」部類に入る新人が、「お化粧とアクセサリーで精一杯に取り繕う」という等身大路線。
減量することがメジャーデビューの条件。
関西弁。
歯に衣着せぬ赤裸々な物言い。
など、いわゆる「ワタシにもなれそうな親近感」で人気を博した。
この狙いは見事に当たって、
若い女性の前で「くぅちゃん」を批判する=目の前の女性すら否定することになりかねない
という図式が成立し、男性であっても「表向き」は彼女を認めなければならない世の中、になってしまった。

しかしながら本人も25を過ぎ、パチンコネタになったあたりからその魔力にも綻びが目立つようになり、奇しくも妹による放屁シーンまで含まれたダイエット密着ビデオが話題になったとなれば、その「等身大路線」は必然的にこの末路を辿らざるを得ない。
いずれにしても、今後間違っても「第二の浜崎」となってもらっては困る側からすれば「倖田は用済み」なのであって、そろそろプロモーションに失敗して、それに責任を感じてフェードアウトしてもらうのが理想、となる。
とすれば、今回のコトは「想定の範囲内」。
そんなタレントを使い捨てにして、と思う人もいるかもしれないが、「人心の掴めなくなった元カリスマ」くらいミジメなものはない。
そうなる以前に、せっかく稼いだアブク銭を湯水の如く使ってしまうのでなく、キャラクターを生かしたファッションブランド、とまでは言わないが、少なくとも細々食っていける小さなショップくらいのものは用意しておかなくては、いや用意するのが当たり前、ではないだろうか。

ライターに台本を書かせてまで看板タレントを貶めるようなコトをわざわざするとは思えないし、第一そんなコトをして本人がネットにでもバラしたら大変なコトになるので、今回は文字通り「自滅」なんだろうが、こう考えると周りが思っている以上に「本人以外は異常ナシ」というのもなんとも寂しいものだ。

たとえ台本にそう書いてあったとしても、「そんなコトは口が裂けても言えない」。
そういう人間になりたいものだと思う。