なるほどね。

dubrock2008-02-27


まずはこの記事を読んでほしい。
よれよれ雑記帳:老人てどこから?
http://www.janjanblog.jp/user/78sabue/78sabue/13293.html
ブログは大江三郎さんという、世間でいうトコロのいわゆる「ご老人」が、「世間から老人扱いされる不愉快」を、「バス(または電車など)で席を譲られるコト」を引き合いにして書かれたもの。
この、「世間から老人扱いされる不愉快」という、おそらくされた当人にしか分からないであろう感覚を読んで、深く納得したコトがある。

電車に乗った時のコトだ。
首都圏でいえば「山手線」のような、駅間が極端に短くて、かつ乗降が激しく、また東京、秋葉原、上野といった主要駅で、ほとんどの乗客が入れ替わるような、そういう路線の場合、立っているのもままならないようなご老人であったり、体に障害を持っている方でないかぎり、まずめったなコトで「席を譲る」なんて光景はお目にかかれない。
また譲られたご老人が、「すぐ降りますから」と辞退する。
その行為だって、そんなに違和感を感じないものである。

ところが、例えば「総武線横須賀線快速」みたいな、駅間が極端に長くて、またこの電車に乗るというコトは相応の距離を移動することが容易に想像でき、終点の千葉なり木更津までほとんどの客が降りない、そして身の危険を感じるほどにスピードを出し、ワタシのような30代の男性でも何かに掴まっていないと立っていられないような、そんな電車の場合、目の前に立つ「いわゆるご老人」をそのままに週刊誌を広げるような、そんな真似というのはなかなかできないものである。
では「席を譲ろう」というコトになるのだが、コレがなかなか難しい。

まず男性の場合。
ワタシが乗る時間に乗り合わせる「男性のご老人」といえば、上等なジャケットを羽織り、アタマにはシャッポ。
鼈甲かなんかのループタイ(紐ネクタイ)など締めていて、「現役を退いたがワシャまだ若い」と顔に書いてあるようなヒト。
不用意に席を譲ろうものなら、お説教でもされ兼ねない雰囲気がイヤというほど漂っている。
なので電車の揺れでよろめくような、本人からの「譲ってくれシグナル」が発せられるまでは、そっとしておくのが得策と考える。
また、ジャンバー姿で尻のポケットに新聞を入れた、いかにもギャンブル帰りのジジイにもたまにお目に掛かるが、こちとらそんな道楽ジジイに譲る席などない。
いくら車内放送で言われたトコロで、「お断り」なのである。

では女性ならどうか。
結構見掛けるのが、お一人で、ちょっとした荷物を持って、誰かのお見舞いか、墓参りか、そんな雰囲気を醸し出している上品そうなご婦人。
もうこの人に席を譲らずして、誰に譲るんだろうと意を決するのだが、正対しているこのご婦人と目が合わない。
コミュニケーションを取るにあたっての「第一歩」はアイコンタクトであり、アイコンタクトが取れなければコミュニケーションが始まらない。
また、「意図的にアイコンタクトしない」はコミュニケーションに対する「拒絶」のサインであって、そのサインを無視して話し掛けるコトは「マナー違反」とされても致し方ない。
その、「アイコンタクト出来ない」現象をワタシはワタシの外観が、「威圧感があって文句を言われそう」だからなのだと勝手に解釈していた。
つまり年老いた老婆には「脅威」なのだと。
ところが前述の大江さんの言によれば、彼女がアイコンタクトしないのは、「席を譲られる」すなわち「老人扱いされること」への拒絶であって、「席を譲ろうという気配がプンプンするワタシ」への拒絶だったのだ。

対して絶対譲りたくない女性というのも居る。
「ご老人」と呼ぶにはまだ早い気がする、動物柄のセーターなど着て、パーマ頭に不自然なメッシュなど入れた、大抵3〜4人の集団だ。
このカテゴリも、いくら車内放送で言われたトコロで「お断り」なのだが、目の前で「連れのダレソレさんの持病のヒザは大丈夫なの?」みたいな要らない予備情報を寄越してくる。
果たしてヒザが本当に痛いかどうか、なんて議論をするつもりもないが、その「席を譲れ」というあつかましさ、「断固としてお断り」以外の何ものでもないのだ。
「荷物が重い」
「向こうに1つ”だけ”席が空いている」
「終点の千葉まで遠いわね」
ありとあらゆる情報で席を譲らせようとするのだが、下げている三越の袋が全てを物語っている。
このババアどもはそうやって、毎回席を譲らせているのだ。
耳にヘッドホンを付け、週刊誌を開き、ひたすらシカトし続ける。
と、別の客がプレッシャーに絶えかね、席を換わる。
おそらく、新聞に投書される「無神経な若者」って、こういうトコロから創り出されるのではないだろうか。

結局、コチラが譲りたい人には譲れない。
その悩みというのは、「ワタシが譲りたいと思うようなご老人というのは、誰からの助けも求めていない」、いや、「老人扱いされての憐れみなど欲しがってもいない」というコトなのだろう。

・・・違うか。