オリンピックあれこれ

dubrock2008-04-10


北京オリンピック聖火リレーが、本来の主旨とは違った意味で注目されている。
即ち、どんな妨害が行なわれるのかというコト。
世界の注目が集まるこの機会だけに、「チベット問題は未解決である」というコトを世界にアピールするにも、絶好のタイミングと言える。
それだけに、チベット動乱以降毎年この時期に行なっていたとはいえ、「僧侶による抗議運動が3月14日には大規模な暴動に発展」というのはなんともナイスなタイミングであり、これを強引に沈静化させた映像を撮影されてしまった中国政府は、まさに『見事に釣られた』というコトだろう。
これに、「人権」と聞くと黙っていられない欧米人が敏感に反応。
チベット解放を求めるというよりは、自分達の活動を誇示するかのようなあのテこのテを繰り出して、聖火リレーを妨害している。
これは、「賛同」というよりはむしろ「便乗」だろう。
とばっちりで空き缶を投げつけられるパリの車椅子ランナーが印象的だった。

また、EU諸国を中心に開会式への不参加を表明している宰相が増えている。
参加ボイコットは過度に商業化された1984年のロサンゼルスオリンピック以降の歴史において、初めてのコトではないだろうか。
これに深刻な大気汚染という環境問題が相まって、「ペキンオリンピックって無理じゃね?」という空気が漂っているが、大金を叩いて「公式スポンサー」となって企業各位にしてみれば、聞こえないフリをして粛々と進める意外に方法はないだろう。
そんなスポンサー企業から、「よりによってなんで北京なんだよ」という声も聞こえて来そうだが、7年前の2001年当時にはこんな環境汚染も人権問題も顕在化していたワケではなく、オリンピックにスポンサードすることが、ややもすると企業イメージの低下にも繋がりかねないなんて、もちろん想定の範囲外だっただろう。

そんな企業の意向が代表選手の選考にも大きく影響するというのは、前回の冬季オリンピック、女子フィギュアスケートでも話題になったが、「商業化された近代オリンピック」においては最早常識。
負けても五輪」と言われようと何だろうと、「谷亮子が代表にならない」なんて、日本を代表するトップ企業トヨタが許すワケがないのである。
(それにしても、特に女子選手など「ほとんどが敗退したのに選出された五輪代表選考会」って、いったいどんなもんだろうか。)
そんな中、自身「五輪V4」を掲げて精進してきた野村選手だけは、さすがに代表から漏れてしまった。
ただ、このヒトの報道のされ方を見ていると、「オリンピック出場は何のため?(誰のため?)」という疑問を抱かずには居られない。
確かに、プロではなく「アマチュア」として競技に参加し、日々精進している選手にとって、「大会で優勝すること」はひとつの目標であって、モチベーションを高める為に必要な要素でもある。
これがなくて、「ただ健康な体作りの為のエクササイズ」というコトであれば、ココまでの盛り上がりは無いだろう。
ただ、「アマチュアスポーツの振興と発展」というお題目の下で、当事者からすれば少ないと思われるかも知れないが「補助金」という名目の「税金」が投入され、それぞれの競技を主催して統括する「協会」という組織が、それぞれに結構な豊満経営をしているのを見れば、ココまで「オレの(記録の)為のオリンピック出場」を全面に出す選手というのもどうだろうか。
「谷は今回で5大会連続の出場になります」とか、コッチにしてみればどうでもいいコトなのである。

それから、北京⇒中国⇒卓球という連想ゲームによって、卓球の愛ちゃんこと福原愛選手のテレビ露出が増えている。
負けると泣きながら掛かってくる姿が「カワイイ」と人気を博した「卓球の愛ちゃん」ではあるが、年齢を重ねるごとに彼女の「卓球選手としての限界」が見え始めているのも事実。
「国内で勝てない」なんてハナシもチラホラと出てきてはいますが、そもそも「試合中に負けて泣く」時点で勝負師としての素質に欠けると思うのはワタシだけでしょうか。
ともかく、子役はコドモだから価値があるのであって、オトナになってしまった子役にキャラクターとしての利用価値はないというコトを、もうそろそろ周囲のオトナが気付くべきでしょう。

そんなワケで、既に大金を突っ込んだ皆さんの手前、強行せざるを得ない「北京オリンピック」。
これが、「スポンサー企業への不買運動」とかに矛先を変えて発展し、興行的に失敗して、「過度の商業化への反省」として次回からの開催に少しでも影響すればいいと思うのだが、そんなスポンサー企業からの広告収入で成り立っているマスメディアの皆さんは、絶対にそんなコトは報道しないだろう。
チベットの詳細を封印する中国政府を、批判できる立場ではないのである。

改めて問いたい。
「オリンピック」って、何の為にあるんだ?

OH!TANUKI!