小倉淳著「やっぱり滝川クリステルは斜め45度がいいのだ!」

dubrock2008-04-18


小倉淳著「やっぱり滝川クリステルは斜め45度がいいのだ!」という本を読んだ。
最初に言っておくが、表題の「滝川クリステル」については冒頭の30ページほどでしか書かれていない。
なのになぜタイトルにまで使ったかというと、ズバリ「売れるため」だそうだ。
そのコトは、「あとがき」にも明記されている。

『どんなに良い内容にしろ、さもない内容にしろ、本は売れなければ意味がない。』
『手にとって中を見てもらわなければ意味がない。』

そのことは、本文におけるメインテーマである「テレビの演出について」で再三出てくるハナシなので、それを読んだ後でこう言われてしまうと、文句の言い様がない。

ハナシが前後してしまったが、本書は「テレビにおける視聴者を引き付ける為の演出」について書かれている。
それというのも、日本テレビ・ラジオ日本の元アナウンサーで、現在はフリーアナウンサーの小倉 淳氏が著者であるからなのだが、ゴーストライティング全盛の時代にあってはその情報はあまりアテにならない。
ただ少なくとも、小倉氏は日テレのOBであって、フジテレビとの縁は薄く、それゆえ、肝心の「滝川クリステル」に関する記述は、「あくまで推測」の域を出ない。
それが残念だったりする。

小倉 淳
そう、このオッサンだ。
見覚えのあるヒトも多いと思う。

ここで「ゴーストライティング」について書いておこうと思う。
一般に、「この本はゴーストライターが書いた」と聞くと、ワタシのような物好きが書いた文章、この場合で言うと「テレビ業界での演出について」の文献が出版社に持ち込まれ、小倉 淳氏が名前だけを貸して出版されたように思われるかもしれないが、実際のトコロはちょっと違う。
小倉 淳氏の日テレ時代の業界裏話を聞いた編集者が興味を持ち、専門のライターに取材をさせ、まとめたものが「ゴーストライターが書いた本」というコトだ。
「本人が活字にしたワケではない」といった方が正確だろうか。
ココから発展して、「あのヒトがこういうネタについて書いた本なら、売れるんじゃないか」という編集者の企画で出される本も多い。
謎のテレビプロデューサー・テリー伊藤氏の2冊の新刊、「ちょいエコで、ちょいモテ」と「GT-Rに10倍楽しく乗れる本」なんて、こんな相反する内容を同時期に一人の人間が書けるワケがないのである。
(おそらく前者がそういう企画モノで、旧来からの企画である後者と、奇しくも出版時期がカブってしまったのだろう。)

それが悪いと言っているのではない。
無名の物好きが「滝川クリステル」について語った本を出版したとしても、香ばしくて誰も手を出さないだろう。
著者が「小倉淳」だからこそ、「確実なトコロで何部」という試算が出来る。
輪転機を回すコトが出来るのだ。
しかしながら、書かれている内容があまりにも表題と乖離していた場合、期待して買ったユーザーは2度と、このテの書籍に手を出さなくなる。
「苦境」と言われる出版業界が、自分で自分の首を締めているのではないかというコトだ。
そしてユーザーも、そういう「ゴーストライティング」を前提に、「内容」で買うに値する本かどうかを見極める必要がある。

ちなみに本はというと、これからマスコミ、特にテレビ業界に就職しようと考えている若者にとっては非常に有益な内容と言える。
それ以外にとっては、あまり参考にならないし、ワタシのような「滝クリマニア」にとっては陳腐な内容だ。
なので、「売れる」というコトもさることながら、本書を必要とするターゲットに的を絞ったネーミングが、第一に考えられるべきであったと思う。
このあたり、フジと日テレの商売の優劣に言及した本書結びの一節に呼応していて、「さすがは元日テレアナウンサー」と思ってしまう。

業界に興味のあるヒトは是非。
「やっぱり滝川クリステルは斜め45度がいいのだ!」

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