仕掛け?無いワケねぇだろw

dubrock2008-04-25


柴咲コウ」のテレビ露出が増えている。
「初」主演映画「少林少女」のプロモーションに他ならないのだが、今さら「ワイヤーアクションの少林寺拳法映画」って、世間のヒトは「観たい」と思うのだろうか。
陳腐。
そんな創造性のかけらも感じられない、予告編だけでも「どっかで見たコトあるような映像」の映画なのだが、「連休は『少林少女』を観に行きたいですね」と巷の「映画好き」から言われてしまうと、ボロクソにけなすワケにも行かず、愛想笑いを浮かべるのが精一杯となる。
ま、この「映画好き」が、「柴咲コウが大好物」というのもあるのだろうが、それでもこんなつまらなそうな映画をこう言わせてしまうには、「事務所のプッシュ」というのが大きいだろう。
普段滅多にテレビ出演、ましてインタビューに答えるコトなどない女優「柴咲コウ」が、撮影裏話や日常生活などをフリートークする。
たとえそれが「造られたもの」であったとしても、話題を集めるのは間違いないし、ついつい見てしまうのも事実。
いや本当は映画のコトなどどうでもよくて、『「柴咲コウ」の日常ってどんなんよ?』というその一点だけの興味で、知らず知らずのうちに「少林少女」という新作映画のタイトルが刷り込まれてしまうのである。

まさに力ずく
事務所の力。
映画に関わった関係各位の力。
テレビ局の力。
「メジャー」と呼ばれるタレントさんを起用した企画というのは、そんな無理矢理とも言える宣伝効果によって、ソコソコの注目を集めてしまうものなのである。
ソレが「悪い」と言っているのではない。
圧倒的な知名度を持ったキャラクターを使う、また「使える」のであれば、ゴリゴリに力ずくでプッシュする、また「される」べきだとワタシは思う。

対してマイナーなインディーズバンドはどうだろうか。
身近に、正社員として就職するべきか、もう少しフリーターの皮を被ったバンドマンとして生きるべきか、「揺れる25歳」が居る。
5年前に出したアルバムCD。
それの印税収入として得た100万円が忘れられないという。

「そんなら、年に5枚アルバム出しゃ、年収500万だべ?」w

チャカしてそう言うと、「年に5枚も出せるほど、アルバムは簡単なものじゃない」といきり立つが、そんなコトは音楽業界に居なくたって分かる。
アルバムCD1枚で100万の収入にしかならないのであれば、生活できないだろうと言っているのだ。
今年新しいアルバムを出す。
そして、夏は全国ツアー、と言えば聞こえはいいが、新アルバムのプロモーションを兼ねた行商に出るらしい。
仙台ではなんちゃら言うフォーラス前のライブハウスでライブだそうだ。
Zepp仙台?
そんな大きいハコでは出来ないですからと笑うが、メジャーの雄「SMAP」は郊外のサッカー場に万単位の客を集めてしまうのである。
やっぱりバンドで食っていけるようになるのは、まだまだ先のハナシというコトになりそうだ。

それでも、新宿と渋谷と、アチコチのレコード屋さんで店頭に飾ってくれるコトになりました!
と誇らしげに言う。
そんなら、サンプルのCD持ってレコード屋さん周ったらどうか、と聞くのだが、「そういうのは事務所の方でやってくれるんで」とココだけは一端のミュージシャン気取りなのである。
そんな「事務所の方でやってくれた結果」が「100万円」だったのではないだろうか。
「キャパ4、50人のライブハウスで全国行脚」なのではないだろうか。
「名前を売りたい」「CDを売りたい」「ライブチケットを売りたい」と言うのであれば、

「ま ず オ ノ レ が 営 業 せ ん か い」

と出掛かったコトバをようやく飲み込む。
ソコまで教えてしまうほど、オジサンは優しくないのである。
ま、彼も25歳。
マトモな会社に入って、どう見たって売れそうもない自社商品の飛び込みセールスとか、さっぱりレスポンスの上がらない新聞折り込み広告のレイアウト校正とか、一度もやったコトのない若造であるから知る由もないのだが、大々的なテレビCMなど打てないマイナー企業も、自社製品を売る為にあのテこのテの販売戦略を敷いているのである。
5年ぶりのアルバムセールスを事務所任せにしておいて、食えるようになるワケねぇだろうが、と分かる頃にはもう遅いのだろう。
黙って売れるクオリティのCDなら、5年間からそうなっているハズなのだ。

オリコンアルバムチャートで週間1位となった「Perfume」に、「その人気の火付けとなった投稿動画は、事務所サイドからのもの?」という疑惑があるようだが、動画に対する好意的なコメントも含めて作為的なものであったとして、それの何が問題なのだろうか。
以前NHKに出演した主婦軍団が、映画のレビューサイトで「レビューを書くヒト」と、「レビューに共感するヒト」などの役割を予め決めていたとして話題になったが、あれは「そういう仕組みを作っていたこと」が問題なのではなく、「ソレをテレビでバラしてしまったこと」が問題なのだと思う。
そういう「仕掛け」は、絶対に外に漏れてはならないのだ。
逆に言えば、「バレなきゃ何でもアリ」であって、「売れてメジャーになってしまえばコッチのもの」が「ショービジネスというもの」ではないだろうか。

そんなワケで、身近なショッピングセンターのCD屋さんから、1軒1軒店長さんに挨拶して周り、晴れてニューアルバム発売の暁には、「べスポジに陳列」とまではいかなくても、「『オススメ棚』に横向きに展示」くらいはしてもらえるようになればいいなと、そう願って止まない今日この頃なのである。
だって、ここまでやってきて「アルバム売れなかったから就職します」じゃ、誰だって寂しいだろ?

坊やには分からないだろうなぁ。