クルム伊達公子

dubrock2008-05-05


銀色の奥歯を噛み締め、鬼の形相で打ち返す彼女の姿を、久し振りに観た。
「彼女」とはもちろん、37歳にして女子プロテニス界に電撃復帰した、団塊ジュニアの星・伊達公子選手のコトだ。

スローヨガ?
だかホットヨガだか、とにかくダンナとまったり小遣い稼ぎしていたと思ったら、やっぱり平凡な毎日には飽きてしまったらしい。
とはいえ「電撃復帰」は話題性だけで、なんとなくタレント的に生計を立てられる見込みがついたら「離婚」、というのがお約束の世の中にあって、シングルス、ダブルスともにリアルに復帰戦で決勝まで勝ち進んでしまう辺りが、いかにも彼女らしい。
この、「話題性に実力が付いて来てしまう」という部分が、ビーチの露出狂浅尾美和との決定的な違いでもある。

試合というか、むしろ「勝負」における彼女の「勝ち」への拘りは、やっぱりフツーのものではない。
カメラ映りとか、見映えとか世間体とか、そんなものも眼中にない。
練習ゲームで相手をした国内の若手選手が、「恐い」、「やりにくい」と感想を漏らしたらしいが、練習から闘志全開の選手が、伊達以降居なかったというコトだろう。
「やりにくい」のではなく、「それがフツー」、「それが当たり前」の意識に、果たして彼女達はなれるのだろうか。
読売ヴェルディのラモス選手は、たとえ遊びであっても一度勝負事となると「シャレが全然通じない」というので有名だが、この伊達選手もそういう部類のヒトだと思う。

スピードスケートの橋本聖子選手は、歯を食いしばり過ぎて奥歯が全て入れ歯になっているらしいが、伊達選手のトレードマークである銀色の奥歯も、おそらくそういうコトだろう。

んな、奥歯噛み砕くくらい食いしばるって、どんな負けず嫌いよ!?

なのだが、精神面で常人離れした部分が無ければ、人より抜きんでたプレーヤーにはなれない。
これはワタシが、小学生の頃参加していたサッカーチームで既に掴んでいた感覚だった。
怪我をしてまで、人間関係をギクシャクさせてまで、ヒトを蹴落として前に出ることの出来なかったワタシは、やっぱり万年補欠の二軍選手だった。
松岡修造に怒鳴られたくらいで泣いていたのでは、世界に通用するプレーヤーにはなれないのである。

俳優の中井貴一と噂になり、ウワサが立ち消えて間もなく外国人カーレーサーと結婚したと聞いた時も、さして驚きはしなかった。
そんな「強い女」を嫁さんに出来るニッポン男児など、まず居ないだろうから。
カーレーサーであるダンナのミハエル・クルムは、直近のレース後の記者会見で、彼女のメンタル面での強さについては「尊敬している」とコメントしたそうだ。
おそらく、公衆の面前で何の臆面もなく「自分の嫁さんを尊敬している」と言えちゃうような、そんな絵に描いたような欧米人でなければ、伊達公子と結婚など出来ないだろう。
ボクは御免だ。

惜しむらくは、子供。
というか、37歳という年齢を考えると、子供を諦めたからこその現役復帰なのだろうが、こんなフツーじゃない二人の子供というのがどんなもんか、是非見てみたい気がする。
なので今回、たんまり稼いだら、やっぱりアメリカで代理母出産とかしちゃって欲しいと思う。
気の強さでは、総統の嫁にも負けていないだろうから。

そうそう先日、小室哲哉が久し振りにテレビに出ていたが、その貧乏くささに驚いた。
あれだけ稼いだカネはドコへ行ってしまったのだろうか。
それとも、言うほど儲かってはいないのだろうか。
羽野晶紀もしかりいくら「派手な生活にはカネが掛かる」とはいえ、伊達さんの復帰は断じてそういう理由ではないコトを願っている。
だって、あとは離婚するだけ、ではあまりに悲し過ぎるだろ?

張さんじゃないけど、負けた若手選手達に『喝』だ!

伊達